和歌山市はなぜ炎上したのか その1

和歌山市が犬や猫の「殺処分ゼロ」を目指し、集めた2800万円の寄付金の使い道について炎上しています。詳細はニュースサイトを参照していただくとして、

 

【特集】「犬・猫殺処分ゼロ」目指すはずが... 不妊去勢手術費用のために寄付金「2800万円」集まるも 昨年度の手術はわずか“猫8匹”

 

概要をざっくりと説明すると、2019年に和歌山市が動物愛護管理センターを開設するのに先立ち、2018年に犬猫の不妊去勢手術の費用をクラウドファンディング(CF)で募集したところ、目標額を上回る約2800万円の寄付が集まりました。そのお金がよくわからない用途に使われている上に、2019年度の手術件数は猫8匹だったという話です。

この話はツッコミどころが多すぎるのですが、問題点を整理すると下のとおりです。

 

CFで費用を募ったこと 寄付金は手術室や飼養施設の整備に用いられたということですが、センターで避妊去勢手術を行う計画があり、それが市民サービスに資するものであれば、きちんと予算をとって公費で整備するべきと思います。必要な予算であれば堂々と要求すればいい話で、安直にCFに頼るのは、行政マンとしていかがなものかとは思います。ただ、動愛法の規定では飼育動物の繁殖制限措置は飼主の義務ですから、避妊去勢手術は譲り受けた人が自己負担で実施すべきで、行政が負担すべきではないという意見もあります。その批判をかわすために、避妊去勢に係る費用をCFで募るというのであれば理解できます。しかしCFによる資金調達は、限定された目的に賛同した人から資金を募るのですから、使い道は純粋に避妊去勢手術に係る費用に限定されるべきであり、例えば手術の外部委託に必要な費用に充てる(経験のない獣医師に執刀させるよりよほど効率的です)とか、動物愛護団体への補助金といった使い方が妥当だと思います。

 

寄付金の使い方 寄付金の使い方もむちゃくちゃです。どうやら担当職員は、寄付金と予算の区別がついていないようです。予算は業務遂行に必要な経費として割り当てられているのですから、予算を使わなければ仕事をサボっているとみなされます。だから役人はどんぶり勘定で予算をじゃぶじゃぶ使います(それが良いことなのかどうかは別問題です)。寄付は特定用途に対する善意のお金ですから、どんぶり勘定は許されません。役人には「予算を残してはならない」という固定観念がありますから、寄付金を節約しながら使うという発想がないのです。例えば手術台が99万円、照明器具が103万円、麻酔装置が118万8000円ということですが、もっと安い製品を探すとか、中古で済ませるとかいう発想はなかったのでしょうか。またこの費用をすべて委託に回せば、少なくとも数百頭の避妊去勢手術が可能でしょう。(次回に続く)