「殺処分ゼロ」のプレッシャー その2

動物愛護団体のほとんどは非営利で運営されています。団体の構成員はボランティアで、協力者からの寄付で運営されています。構成員は総じて活動に熱心で、運営資金を捻出するために仕事を掛け持ちしているという人もいます。まったく頭が下がります。なので、あまり悪口は言いたくないのですが、彼らには3つの悪い癖があります。

1つ目は、良くも悪くも「純粋すぎる」ことです。「1匹でも多くの命を守る」ことへのフォーカスが強すぎて、時折、人間の福祉や感情よりもそれを優先させてしまうきらいがあります。それは当然、現在の日本社会において一般的に容認される価値観ではありません。ですので、行政担当者や地域住民との軋轢が時折生じます。

2つ目は、「自分が」という意識が強すぎることです。同じ目標を持つ者同士は団結すればよいのに、しばしば動物愛護団体は乱立し、時には仲違いします。動物愛護行政に従事している方であれば、動物愛護団体の関係者から、他団体への誹謗中傷の意見を一度は聞いたことがあるはずです。私はそこに、いわゆる「メサイヤコンプレックス」を感じるのですが、本筋から離れるのであえて触れないことにします。

3つ目は、行政を信用していないことです。彼らは、保健所に収容された犬猫は、一刻も早く引き出さなければ殺処分されるという、一昔前の感覚を持ち続けています。かつて殺処分ありきだった行政を、時代が変わったからといって信用しろというのも虫のいい話ですし、信用ならない自治体が存在することも否定しませんが、この考え方は動物愛護団体自体の首を絞めることになります。

これらの要因が複合して、動物愛護団体の皆さんは「自分たちがどうにかしなければ、この子たちは殺されてしまう!」と思い込み、行政の無茶ぶりを受け入れてしまうのです。

その最たるものが、令和2年6月に報道された、京都の「動物保護ボランティアの神様」宅における多頭飼育崩壊事件です。この「神様」は他団体から動物を無秩序に受け入れていたようですが、こういう人物に動物を預けてしまった動物愛護団体もまたかなり無理をしていたのでしょう。全国ニュースで報道された案件ですので、さすがに京都府警も動いています。「神様」は他府県からも動物を受け入れていたようで、京都府警から問い合わせを受けた自治体の方もおられるようです。

動愛法には、都道府県等は動物愛護団体(個人を含む)に犬猫の引き取りや譲渡を委託することができると規定されています。「譲渡」という形で団体に丸投げするのではなく、ある程度行政がフォローする「委託」が進めば、状況は変わってくるのかなと思います。もっとも、行政が信用を得る努力と、動物愛護団体のオトナの対応が前提になりますが。