殺処分の方法

殺処分は具体的にどのような方法で行われているのでしょうか。今回からはそこに踏み込んでいきたいと思います。動愛法では殺処分についてこう規定されています。

 

第四十条 動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によつてしなければならない。

2 環境大臣は、関係行政機関の長と協議して、前項の方法に関し必要な事項を定めることができる。

3 前項の必要な事項を定めるに当たつては、第一項の方法についての国際的動向に十分配慮するよう努めなければならない。

 

第2項の規定に基づき、環境大臣が定めているのが「動物の殺処分方法に関する指針」で、そこにはこう書かれています。

 

殺処分動物の殺処分方法は,化学的又は物理的方法により,できる限り殺処分動物に苦痛を与えない方法を用いて当該動物を意識の喪失状態にし,心機能又は肺機能を非可逆的に停止させる方法によるほか,社会的に容認されている通常の方法によること.

 

つまり殺処分は、安楽殺であることが求められるのです。しかしこの文面では何をもって安楽殺とするかが全く分かりません。そこで行政の担当者が拠り所としているのが、環境省が編集した「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」です。その「安楽死」の章には、米国獣医師会の安楽死ガイドラインが参照されています。

そこで示されている犬猫の安楽死処置法は、「ペントバルビタールの過剰投与」「炭酸ガス」「吸入麻酔薬の過剰投与」「硫酸マグネシウム又は塩化カリウム(単独使用は不可)」の4つです。そのうち前の2つが、日本でよく用いられています。ちなみに人間の安楽死「事件」でよく用いられるのは塩化カリウムです。

炭酸ガスが真の安楽殺手段であるか否かについては国際的に議論があり、動物の安楽殺手段としては、ペントバルビタールの過剰投与が世界標準となっています。しかし日本で唯一、ペントバルビタールナトリウム製剤を供給していたメーカーが2019年1月に販売終了してしてしまっています。買い置きが尽きてしまったらどうするのか、何で代替できるのか。2020年7月現在、環境省から明確な指針は示されていません。