実際に各自治体では、どのような方法で殺処分が行われているのでしょうか。平成24年度(平成23年度実績)と令和元年度(平成30年度実績)の「動物愛護管理行政事務提要」を見比べてみましょう。
現在、多くの自治体はペントバルビタールNaによる殺処分が基本で、炭酸ガスは補助的手段として位置付けています。平成23年当時は逆で、炭酸ガスが基本でした。吸入麻酔も容認される方法ですが、扱いが難しいせいか、あまり使われていません。この3つの方法については、別の回に詳しくお話しするとして、その他の方法について簡単に触れておきます。
【その他のバルビツレート】現在も入手可能な、チオペンタール、チアミラール、アモバルビタールなどをペントバルビタールNaの代替として用いる方法です。ペントバルビタールNa以外のバルビツレートによる安楽殺も容認される方法ではありますが、用量などのデータが少なく、使いにくいのが現状です。
【クロロホルム】かつて一部の自治体で子猫の安楽殺に使われていましたが、実施者への安全性の問題で現在は使われていません。
【麻酔下の塩化カリウム】塩化カリウムには鎮痛麻酔作用がないため、単独使用は容認されませんが、麻酔下での使用は環境省の指針でも認められている方法です。近年一部の自治体で採用されています。
【麻酔下の筋弛緩薬】環境省の指針には「単独使用は容認できない」とだけ記載され、麻酔下の使用の可否については触れられていないため、麻酔下の使用が消極的に容認されているとみなされる方法です。ペントバルビタールNaの普及以前から、一部の自治体で伝統的に用いられています。ほとんどの自治体で、麻酔下で実施されています。