譲渡適性の話 その1

収容された犬や猫は、新しい飼主に譲渡できるか否かの判定を受け、「譲渡適性あり」と判定されたら、譲渡動物としてワクチン接種や避妊手術などが行われます。「譲渡適性あり」と判定されなかった子たちは…いつまでも置いておくわけにはいかないので、殺処分ということになります。ちなみに米国には動物を殺さないことを標榜した「ノーキル」のアニマルシェルターがありますが、そこは譲渡適性のある動物しか受け入れません。譲渡適性のない動物は他へどうぞ、というわけです。

譲渡適性を判断するために各自治体が参照しているのが、環境省の「譲渡支援のためのガイドライン」です。譲渡動物を選定する際には「健康状況評価」と「気質判定・反応行動評価」により判断するのですが、例えば「健康状況評価」はこんな感じです。

 

さすが国が作ったマニュアルだけあって、やたら「著しい」が出てきて、挙句の果てには「良いと思われます」…嗚呼。

例えば、猫かぜで目脂や鼻水の症状がある子猫が収容された場合、その時点では「譲渡適性なし」です。しかしFIVなどの基礎疾患がない限り、ストレスのない環境で投薬治療すれば、1週間くらいで猫かぜの症状は治まります(完治したかどうかは別問題ですが)。そうなれば「譲渡適性あり」になります。下痢や耳ダニも、適切な薬剤を使えば処置可能です。ちなみに動物愛護管理センターの処置室が動物診療施設として届出ていれば、要指示薬も購入でき、獣医師の指示により投与できます。もちろん譲渡の際には、譲り受け希望者に処置の状況について説明する必要があります(例えば、カルテの写しを提供するなど)。これが、この表の正しい使い方です。

しばしば、この表は間違った使い方をされてしまいます。例えば猫は、交通事故等による脛骨の単純骨折が珍しくありませんが、このような猫が持ち込まれた場合、その時点で「骨折だから譲渡適性なし」と簡単に判断してしまう自治体が実際にあります。「だってガイドラインにそう書いてあるもん」というわけです。次回は、その問題について考えてみます。