動物の所有者について その1

遺失物法の改悪によって、拾得された犬猫の保管期間は、ほとんどの場合遺失物で定められた2週間ではなく、各自治体の規定に丸投げされました。それこそ3日目で殺処分されてしまうかもしれません。そこで視点を変え、「所有者の判明しない犬猫」の所有権について考えてみます。

法的には犬や猫は「動産」であり、必ず所有者等(動愛法上は「所有者又は占有者」ですが、以下「所有者」とします)がいます。そして、狂犬病予防法の規定で抑留されても、動愛法の規定で引き取っても、また負傷した犬猫を収容しても、所有権が都道府県等に移転するとは、どこにも書かれていません。つまり、所有者の同意なく犬猫を殺処分すると、刑法第261条の器物損壊罪にあたり、違法です。ただし器物損壊罪は親告罪のため、所有者やその他権利者による告訴が必要です(時効は犯人を知った日から6か月です)。

では所有者とは誰か。飼い犬や飼い猫であれば、所有者は明らかですが、所有者が不明の場合はどうなるのでしょうか。誰かに拾得された所有者不明の犬猫は、その素性によって所有者等が違います。迷子の飼い犬や飼い猫であれば、単に所有者が不明なだけなので、所有者はいるはずです。飼い主が飼育放棄した犬猫や、そもそも飼い主がいない犬猫は、発見者が所有者となります。とはいえ、発見された時点で、それが飼い犬や飼い猫であるかどうかはわかりません(だから「所有者が判明しない」のです)。そのため、勝手に野良犬や野良猫と決めつけて勝手に自分のものにしてしまうと、もし飼い主がいた場合、刑法第254条の占有離脱物横領罪にあたってしまいます。

つまり、拾った犬猫を合法的に自分のものにするには、必ず拾得物として警察に届け出て、警察にどんなに言いくるめられたとしても、遺失物法の適用を強く求めれば、3か月後には晴れて自分のものになります。また、2週間後に買い取ることも可能です。

問題なのは、動愛法が適用された場合です。その場合、所有権が移転しないまま収容され、譲渡や殺処分が行われます。そのため、犬猫の引き取りや負傷収容の際には、少なくとも発見者に対しては、引き取る意思がないこと、そして譲渡や殺処分に同意することを確認しておく必要があります。この手順を怠ると、所有権を盾に発見者に器物損壊罪で訴えられる可能性があります。

本来の所有者がいる場合であっても、譲渡や殺処分は粛々と行われます。行政機関にはそんなにたくさんの動物を抱える余裕はないからです。明らかに所有者がいないと断言できる場合以外は、譲渡の際に、譲り受け者に「本来の所有者が名乗り出た場合、所有権については当事者間で話し合うこと」という念書にサインしてもらう必要があります。(続く)