安楽殺の観点から殺処分法を考える

前回の採点基準をもとに、47都道府県で行われている犬猫の殺処分法を、現時点で安楽殺として推奨されている方法であるかどうかという観点から採点してみました。それをまとめたのが下の表です。

Aの方法のみを用いている5自治体を「優」としました。パターンとしては、炭酸ガスの単独投与を実施せず、ペントバルビタールNa等を使用している自治体が多いです。特定の自治体を称賛したり貶めたりすることはこのブログの趣旨から外れるのですが、「優」の自治体は関西が多いとだけ言っておきます。

AまたはBのみを用いている自治体を「良」としました。そのうちABのみを用いているのが14自治体で、基本はペントバルビタールNaで、場合によっては炭酸ガス(単独使用)も使うという自治体が多いです。Bのみの自治体は12で、「炭酸ガス(単独使用)のみ」「その他のバルビツレートのみ」「その両方」のパターンがあります。ちなみに、炭酸ガス(単独使用)のみで殺処分を行っているという自治体が5つあります。

Cを用いる自治体を「可」としました。ABC全ての方法を用いているのが5自治体で「ペントバルビタールNa」「炭酸ガス(単独使用)」とCの方法を併用しているところが多いです。AとCが1自治体で、「意識喪失下の炭酸ガス」が基本で、「意識喪失下の筋弛緩薬」を併用しています。BとCが4自治体で、「意識喪失下の筋弛緩薬」や「バルビツレートの経口投与」が行われています。Cのみが4自治体で、全て「意識喪失下の筋弛緩薬」を使用しています。

BやCの方法を用いる自治体は、「おたくの殺処分は安楽殺か」と問われたときにどう答えるかをよく考えておかねばなりません。「環境省がいいと言っているから」という理由では納得してもらえません。これは危機管理上の問題でもあります。それを考えると、Aのみを用いる自治体が関西に多いのもうなずけます。

Dの方法ははっきりと「安楽殺として認められない」とされているので、他にどのような方法を使っていたとしても「不可」です。ここには筋弛緩薬や塩化カリウムを単独使用している、各1自治体が入ります。おそらく以前から伝統的に用いられているものと考えられます。ちなみに両自治体とも、殺処分の方法については見直しを検討しています。