TNRで野良猫が減らない理由

前述のとおり、Alisa MullinsはTNRの問題点として、「捨て猫を誘発する」「猫などの動物を誘引する」ことを挙げています。つまり「保護してもらえるから猫を捨てやすい」のであり「餌につられて猫が集まる」のです。ちょうど2020年8月22日に、このようなニュース記事がありました。

 

埠頭で止まらぬ捨て猫180匹 「餌がある」期待されて

朝日新聞デジタル 8/22(土) 10:21配信

 宮崎港(宮崎市)で捨て猫が絶えない。病気や事故で死ぬ例も相次ぎ、宮崎市に拠点を置く市民団体「□□会」が「もう捨てないで」と呼びかけている。不定期に餌を与える人もいて、周辺にはゴミや糞(ふん)が散乱。同会は初めての一斉清掃に取り組んだ。

宮崎港の東地区埠頭(ふとう)に広がる緑地帯(広さ15.8ヘクタール)。人が近づくと、林の中から野良猫たちがニャーニャーと鳴きながら姿を見せる。「餌をもらえると思ってるんです」と会代表の〇〇さん(52)。

 〇〇さんたちは昨年2月、緑地帯に暮らす猫たちを「地域猫」として登録し、これまでに201匹の不妊・去勢手術を済ませた。

 だが、手術をしていない猫が後から後から見つかり、追いつかない状況という。

 野良猫の寿命は4~5年程度とされる。手術をすれば繁殖できず、全体の数は減るはずなのに、「ここでは一向に減らない」(〇〇さん)。現在、緑地帯で暮らす野良猫は約180匹とみられる。病気やけがをする猫も多く、毎月数匹の死骸が見つかるが、それとほぼ同じペースで捨て猫が加わっていると推察される。

 ここの猫は、餌を与える人がいるため命をつないでいる。だが、餌や水をやりっ放しでゴミを片付けない人もいる。餌があることを期待して猫を捨てに来る人も少なくないという。

 □□会は9日早朝、会員約30人を動員し、緑地帯の一斉清掃をした。誰かが作って放置した猫の小屋、餌や水を与えるための容器、市販の餌の袋などが次々に見つかった。約3時間で、45リットルのポリ袋30個が満杯になった。猫のものとみられる白骨もあった。

 

橙色は引用者によります。

※人名・団体名は伏せ字にしています。

※「緑地帯に暮らす猫たちを「地域猫」として登録し」という箇所は意味不明ですが、おそらく、どうぶつ基金(TNR推進団体)の「さくらねこ無料不妊手術事業」を利用して避妊去勢手術を行ったという意味だと思われます。

 

まさにAlisa Mullinsの懸念通りの事態が起こっているのです。このニュースがたまたま私の目についただけで、おそらく似たような状況が全国で展開されていると考えられます。

TNRへの反対意見を参考にすれば、本気で野良猫を減らすためには、少なくともここに挙げた3つの取り組みが必要です。もし無理なのであれば、ひたすらTNRを続けるしかありません。野良猫は思うように減らないでしょうが、行政機関における殺処分は確実に減りますから、それはそれで意味のあることではないでしょうか。