「動物の処分方法に関する指針の解説」を読む その5 殺処分の方法②

<実験動物>

実験動物の殺処分については「実験動物の飼養及び保管等に関する基準の解説」に詳細に記載されていますが、この対象は「実験の終了又は中断によって不要になった実験動物」に限られているため、過剰繁殖の実験動物などの殺処分について、ここで取り上げています。その方法は、前述の愛がん動物の殺処分方法及び「実験動物の飼養及び保管等に関する基準の解説」に準じるほか、麻酔下で放血させる方法によることとすると記載されています。ここには「実験動物の飼養及び保管等に関する基準の解説」の該当部分が示されています。ここでは犬や猫の安楽死法として「バルビツレイト」と「炭酸ガス」が示されています。具体的な記述について、参考までに引用します(後で述べますが、これは現行のものではないので、あくまでも参考です)。

 

(ア)バルビツレイト(バルビツール系麻酔薬)注射:例えば、ペントバルビタールナトリウム(ネンブタール®、ソムノペンチール®など)を麻酔量の2~4倍(60~120mg/kg)を急速に血管内に注入する。この際、どちらかというと濃厚液を用いるとよい。(中略)チオペンタールナトリウム(チオバール®、ラボナール®、ペントタール®など)、サイアミラールナトリウム(イソゾール®、チトゾール®、サリタール®など)等のバルビツレイト(バルビツール系麻酔薬)を使用する場合も同様である。

(イ)炭酸ガス吸入:密閉容器あるいはビニール袋に直接又はケージごと動物を収容し、炭酸ガスを導入する。動物は興奮することなく速やかに死亡する。普通、炭酸ガスはボンベから得るが、小動物ではドライアイスを利用してもよい。いずれにしても、安価で安全な安楽死法である。

 

しかし「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」は2006年に「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」に改正され、「実験動物の飼養及び保管等に関する基準の解説」は「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」にバトンタッチしました。「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の解説」の安楽死処置法として「バルビツレイト」に関する踏み込んだ記述はなくなり、犬猫の安楽死処置法として「ペントバルビタールの過剰投与」「炭酸ガス」「吸入麻酔薬の過剰投与」「硫酸マグネシウム又は塩化カリウム(単独使用は不可)」が示されたことは前述のとおりです。「チオペンタールNaやサイアミラールNaもペントバルビタールNaと同様に使用できる」という記述が削除された理由は謎ですが、今はそういうことになっています。

「動物の処分方法に関する指針の解説」も時代に合わせて改正する時期に来ていると思いますが、どうでしょうか。

 

※「解説」中の「処分」は「殺処分」に読み替えています。