マイクロチップについて

動物の個体識別手段として、環境省が推進しているのがマイクロチップ(MC)です。動愛法の令和元年改正にて、犬猫のブリーダーに対してMC装着(施術的には「埋設」が妥当であると思いますが、条文に合わせて「装着」とします)を義務付け、またその他の飼い主等に対して努力義務を課しました。MCについては日本獣医師会のホームページに詳しく書かれています。

 

マイクロチップ(MC)は、直径約1~2mm_長さ約8~12mmの円筒形のガラス又はポリマーのカプセルで包まれた小さな電子標識器具です。電子標識器具というと少し難しく聞こえるかもしれませんが、要するに動物の小さな小さな名札と考えてください。その中には、個体識別番号が書かれた機能や、アンテナの役割を果たすコイル等が収めてあります。また、ICチップという名前でも呼ばれています。

MCに書かれている番号は、専用のリーダーという器具を使って読むことができます。リーダーをMCに近づけると、リーダーが発する電波にMCが反応して番号を送り返します。これをリーダーが感知して番号を読み取るのです。MC自体は電源を必要としないので、電池の交換は必要なく、一度動物の体内に装着されれば一生交換する必要はありません。

専用のリーダーは、全国の動物愛護センターや保健所、一部の動物病院や警察など、動物が保護される可能性のある施設に配備されており、マイクロチップ番号の読取りが行われています。

 

MCの装着は獣医療行為ですので、動物病院等で獣医師による施術が必要です(数千円から1万円程度)。MCが装填された太い針を首や肩の皮下に刺して装着します。麻酔が必要なほどではありませんが、予防接種等の注射よりは痛いです。出血する場合もあります。

MCに登録された情報は、固有の15桁の数字です。それだけです。なので、その数字と飼い主情報とを紐づけるために、登録機関に情報を登録する必要があります。日本においては日本獣医師会がその事務を行っています。動物管理機関や動物病院にはデータベースにアクセスするためのIDが割り当てられていて、飼い主情報の検索が可能です。IDを持っていない人(MCリーダーを持っていて、IDを持っていない人は稀有だと思いますが)は、日本獣医師会に情報提供すると、登録された飼い主に連絡が行くようなシステムもあります。MCが正しく装着されていて、かつ登録されていれば、もしもの時の返還の可能性はぐっと高まります。「そんな訳の分からん物体を埋め込むのはかわいそう」という方もおられますが、MCにはそれを上回るメリットがあります。ナントカ都市伝説によると、近い将来、人間もMCで管理される時代が来るとか来ないとかで、MCを手に埋め込んで喜んでいる人もいます。信じるか信じないかは、あなた次第ですが。