所有明示の方法

努力義務ではありますが、所有動物への所有明示については、動愛法第5条第3項にこう規定されています。

 

動物の所有者は、その所有する動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置を講ずるように努めなければならない。

 

また「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(平成14年環境省告示第37号)」にはこう規定されています。

 

逸走した場合に所有者の発見を容易にするため、マイクロチップを装着する等の所有明示をすること。

 

所有明示の具体的な方法については「動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置について(平成18年環境省告示第23号)」にこう規定されています。

 

家庭動物等及び展示動物

所有者の氏名及び電話番号等の連絡先を記した首輪、名札等又は所有情報を特定できる記号が付されたマイクロチップ、入れ墨、脚環等によること。なお、首輪、名札等経時的変化等により脱落し、又は消失するおそれの高い識別器具等を装着し、又は施術する場合にあっては、可能な限り、マイクロチップ、脚環等の非常災害時においても脱落のおそれが低く、より耐久性の高い識別器具等を併用して装着すること。

 

つまり首輪や迷子札だけではなく、マイクロチップ(MC)を併用しろということです。その逆は書かれていませんが(環境省はMCさえあればそれでいいと思っているのでしょうが)、前述のとおりMCも万能ではありませんから、MCだけでよいということにはなりません。特にMCの最大の欠点は、専用のリーダーが必要な点です。特に大規模災害時にペットとはぐれた場合、動物がMCリーダーを持った人に保護されるとは限りません。迷子札が付いていれば、返還の可能性が高くなることは覚えておいてください。また犬の場合は「鑑札」「注射済票」の着用は義務ですので、それらを装着するための首輪が必須です。環境省の資料から引用した、個体識別手段についてのまとめを示しておきます。

これはMC推進のための資料ですので、ややMCにひいき目です。哺乳類に限りますが、欧米では個体識別の手段として、主に内股への入墨がMCと同様に普及しています。入墨で記号や数字を表示し、脱落や摩耗の可能性がない良い方法ですが、日本ではあまり普及していません。また足環は鳥類にしか使えません。耳標は牛やせいぜい豚にしか使えません。結論から言うと、「視認可能な方法(首輪、迷子札)」と「脱落しない方法(MC、入墨)」を併用しましょうということです。