第一種動物取扱業者(動物の販売、保管、貸出、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で業として行う者)は、動物の適正な取扱いを確保するための基準等を満たしたうえで、都道府県知事又は政令指定都市の長(知事等)の登録を受けなければなりません。登録を受けずに業を営むと、百万円以下の罰金(46条1号)が科せられます。不正の手段によって登録を受けた場合も同様です(46条2号)。また環境省令で定める標識を掲げていないと、十万円以下の過料(50条)が科せられます。
登録後に登録事項の変更届出を行わなかったり、虚偽の届出を行うと、三十万円以下の罰金(47条1号)が科せられます。また廃業の届出を行わず、また虚偽の届出を行うと、二十万円以下の過料(49条1号)が科せられます。
また、知事等は、施設や動物の取り扱いについて問題がある場合、改善するよう勧告を行うことができ、勧告に従わない場合には勧告に従うよう命令を行うことができます。その命令に従わない場合、百万円以下の罰金(46条4号)が科せられます。悪質な業者は業務の停止命令を受けることがあり、その命令に従わない場合、百万円以下の罰金(46条3号)が科せられます。あらかじめ知事等から指名された職員は、必要がある場合には動物取扱業者に対し報告を求め、また立入検査をすることができますが、報告を拒否したり虚偽の報告をしたり、検査を拒んだりすると、三十万円以下の罰金(47条3号)が科せられます。なお、廃業後2年間は立入検査等の対象になります。
また知事等は、「犬猫等販売業者」(第一種動物取扱業者のうち、犬又は猫の販売や販売のための繁殖を行う者)が所有する犬猫等に係る死亡に関する検案書又は死亡診断書の提出を命じることができますが、違反した場合は三十万円以下の罰金(47条2号)が科せられます。「犬猫等販売業」も届出が必要で、無届の営業や廃業の届出を怠ると、三十万円以下の罰金(47条1号)が科せられます。
「動物販売業者等」(第一種動物取扱業者のうち、動物の販売、貸出し、展示、譲受飼養を行う者)は、毎年度5月30日までに、登録を受けた都道府県等に対し、前年度の動物の取扱数等の定期報告が義務付けられていますが、これを怠り、または虚偽の届出を行うと二十万円以下の過料(49条1号)が科せられます。また「動物販売業者等」は動物の個体についての帳簿を備え、記入の上5年間保存することとされていますが、これを怠り、または虚偽の記載をした場合、二十万円以下の過料(49条2項)が科せられます。
前述のとおり、これらの罰則を科すためには刑事手続が必要で、警察権を持たない知事部局の職員には、行政指導しかできません。