「アニマルポリス」について考える<5> その他の罰則規定

特定動物の飼養や保管には許可が必要ですが、無許可で特定動物を飼養等すると、六月以下の懲役又は百万円以下(法人は五千万円以下)の罰金(45条1号)が科せられます。不正手段によって許可を得た場合も同様です(45条2号)。特定動物飼養等の許可を受けた後、無許可にて申請事項を変更した場合、六月以下の懲役又は百万円以下(法人は五千万円以下)の罰金(45条3号)が科せられます。軽微な変更について届け出を怠り、また虚偽の届出を行うと、三十万円以下の罰金(47条1号)が科せられます。特定動物飼養者に対しても、担当職員が立入検査を行うことが可能ですが、この検査を拒むと三十万円以下の罰金(47条3号)が科せられます。また知事等は特定動物飼養者に対して措置命令を出すことができますが、これに違反すると百万円以下の罰金が科せられます。

 

動物虐待等に関する罰則はかなり強化されました。愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者には、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金(44条1項)が科せられます。また愛護動物に対し、みだりに虐待やネグレクト等を行った者には、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金(44条2項)が科せられます。愛護動物を遺棄した者には、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金(44条第3項)が科せられます。

 

あらかじめ知事等に指名された職員は、不適切な動物の飼養等によって生活環境が脅かされたり、動物が虐待を受けるおそれがある場合に、動物の飼養者等に対して報告を求め、また立入検査を行うことができますが、飼養者等が報告を拒んだり虚偽の報告をし、また検査を拒んだ場合、二十万円以下の罰金(47条の2)が科せられます。

知事等は、動物の飼養等によって周辺の生活環境が損なわれている事態を生じさせていて、かつ行政指導に従わない者に対して改善勧告を出すことができますが、従わない場合、知事等は勧告の履行命令を出すことができ、これに違反した者には五十万円以下の罰金(46条の2)が科せられます。

また、知事等は動物の飼養又は保管が適正でないことに起因して動物が衰弱する等の虐待を受けるおそれがある事態を生じさせていて、かつ行政指導に従わない者に対する改善措置を出すことができ、それに従わない場合に勧告の履行命令を出すことができますが、それに違反した者には、五十万円以下の罰金(46条の2)が科されます。

 

動物の殺傷・虐待(ネグレクトを含む)・遺棄に対しては、行為そのものが懲役刑を含む罰則の対象となっていますが、いきなりその容疑で告発することは通常困難です。動物虐待等に関する知識に乏しい警察官が、虐待等の事実を確認することは難しいからです。飼主等への行政指導を繰り返し、やめさせることに主眼が置かれます。