アニマルシェルターの基本3 シェルターの設置手続き

地方自治体が設置する動物管理機関であればあまり問題になりませんが、民営のアニマルシェルターを設置する際には、いくつか注意が必要です。

 

シェルターの設置主体 米国のシェルターの多くは非営利団体として州の認可を受け、税制上の優遇措置を受けています。日本にもNPO法人などの非営利法人が運営するシェルターが存在しますが、多くは任意団体により運営されています。

 

シェルターの届出 非営利のアニマルシェルターのうち、人の居住部分と区分できる飼養施設において、一定数の(例えば、犬猫であれば10頭以上)頭数を飼養または保管する場合には、第二種動物取扱業としての届出が必要です(届出先は都道府県または政令指定都市の動物愛護管理部局)。施設や管理などについては「第二種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」(平成25年環境省告示第47号)を順守する必要があります。届出の必要がないシェルター(小規模シェルターや預かりボランティア、公営シェルターなど)については、「細目」順守の法的義務はありませんが、当然「細目」に準じた管理が求められます。※「細目」は令和3年に廃止され、数値規制を盛り込んだ新「基準」が公布される予定です。

それとは別に、犬を10頭以上飼養・収容する場合には、化製場法に基づく飼養・収容の許可が必要になる場合があります。対象地域は各自治体の条例で定められています(申請先は管轄の保健所)。また、排水や廃棄物の処理についても法律や条例に基づく届出が必要な場合があります。

個人への譲渡を目的に公営シェルターから動物の譲渡を受ける(引き出す)場合、譲渡団体としての登録が必要な自治体もあります。

 

飼育動物診療施設の届出 獣医師法においては、動物の診療行為自体は禁じられていないので、シェルター内の動物の治療を行う限りは獣医師である必要はありません。しかしワクチンや駆虫薬、抗生剤など、シェルターで必須の薬剤のほとんどは要指示薬で、獣医師による処方が必要です。たとえ専属の獣医師を雇用したとしても、それだけでは要指示薬の購入はできませんので、管轄の家畜保健衛生所に「飼育動物診療施設」の届出が必要になります。民営シェルターの場合、獣医師が運営しているなど特殊なケースを除き、協力的な動物病院と提携していることが多いと思います。

 

付随的事業の注意 例えば猫カフェを併設するような場合、その形態によっては、第一種動物取扱業(展示)の登録と食品営業許可が必要になる場合があります。また、非営利法人が運営するシェルターについては、事業に一定の制約がある場合がありますので、確認が必要です。