アニマルシェルターの構造3 日本の規制 その2

前回紹介した「細目」は令和3年初頭をめどに廃止され、代わりに具体的な数値基準を盛り込んだ「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(仮)」が公布される予定です。令和2年10月7日の「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」にて、その環境省案が示されましたので、ここでは施設基準に追加される部分についてご紹介します。タイトルの通り、この新基準は第二種動物取扱業にも準用されます。

環境省案によると、犬猫の飼養施設を「運動スペース分離型」(普段はケージを寝床や休息場所とし、運動の際は「運動スペース」に出すタイプ)と「運動スペース一体型」(寝床や休息場所と運動場所が一体のタイプ)に分け、動物のサイズによって具体的な数値基準を定めることとされています。

「分離型」のケージは、方向転換や立ち上がりが可能なスペースとして、犬は「タテ体長の2倍×ヨコ体長の 1.5 倍×高さ体高の2倍」、猫は「タテ体長の2倍×ヨコ体長の 1.5 倍×高さ体高の3倍(棚を設け3段以上の構造とする)」こととされ、複数飼養する場合は各個体に対する広さの合計面積を確保することとされています。また「分離型」の場合、常時利用可能な運動スペースを設け、このスペースで1日3時間以上運動させることが義務付けられます。運動スペースの面積は「一体型」の基準と同一以上とされています。

「一体型」施設は、犬は「分離型のケージサイズの床面積の6倍×高さ体高の2倍」とし、複数飼養する場合は「分離型のケージサイズの3倍×頭数分の床面積を確保」とされています。猫は「分離型のケージサイズの床面積の2倍×高さ体高の4倍」とし、「2つ以上の棚を設け3段以上の構造とする」とされています。また複数飼養する場合は「分離型のケージサイズ×頭数分の床面積を確保」とされています。猫は床面積よりも高さが重視されています。

繁殖時は「親子当たり上記の1頭分の面積を確保」とし、親子以外の個体の同居は不可とされています。

とはいえ、具体的なイメージが難しいと思いますので、犬の例について環境省の説明資料から引用します。

米国のシェルターメディスンの教科書では、犬1頭につき35~64平方フィート(3.2~6平方メートル)を確保するよう推奨されていますので、妥当な数字だと思います。しかし犬の場合、品種や系統によってサイズが異なります。アニマルシェルターにはどんな犬が収容されるかわかりません。超大型犬の収容もあり得ます。こういうときに、古い設計の動物愛護管理センターに設置されている、ガス室送りを待つ犬たちを大量収容するために使われていた、面積可変式の犬房が威力を発揮します。