犬の収容場所は、最低限のスペースと寝床を備えた「ケージ」と、ある程度の活動ができるスペースの中に寝床を備えた「犬舎」の2つに大きく分類されます。犬舎の中に移動式のケージを置いて隠れ家にすることもあります。
ケージは、少ないスペースに多くの犬を収容できるのが利点ですが、ストレスがたまるため、定期的に外で運動させてあげる必要があります。またストレスによる病気の発生や、行動の異常のおそれもあります。
犬舎は「ケンネルタイプ」「部屋タイプ」「内外タイプ」などに分類できます。動物愛護管理センターや保健所の抑留所に多い犬舎は、格子で仕切られた「ケンネルタイプ」です。「部屋タイプ」は格子ではなくドアで仕切られており、個別の空調が可能です。家庭の部屋を再現して、小型犬を屋内飼養に慣らすこともできます。屋内の寝床と屋外の運動場がドアで仕切られた「内外タイプ」は設置に費用がかかりますが、見た目が良く、清掃がしやすくトイレトレーニングも楽なので人気があります。
たしかに犬舎が2分割されていると清掃は簡単です。どちらかを清掃するときに犬を他方に移動させればいいからです。しかし1室の犬舎でも、例えば犬舎の清掃中に犬を散歩に連れ出し、その際にトイレトレーニングを行うことはできます。それが無理であれば、清掃中に一時的に犬舎の外に犬を係留する必要があります。全ての犬舎からアクセスできるスペースを係留所にして、犬舎と同様の衛生管理を行えば、そこを犬の遊び場にすることもできます。
犬舎の中にも寝床を設ける必要があります。犬は寝床として一段高い場所を好むといわれていますので、一段高い「ベッド」を設置します。
犬舎は個室が基本ですが、幼齢犬の場合、社会化(その種特有の社会行動様式を身に付け、家庭動物等として周囲の生活環境に適応した行動が採られるようになること)のために親や同腹仔と同居させることが望ましいとされています。また、相当数の広さの犬舎に、相性のよい犬同士を同居させることも通常行われています。その際にはワクチン接種や駆虫、健康チェック等が必要です。
犬はどうしても鳴き声による騒音が問題になります。犬舎は防音構造が望ましいですが、それよりもストレス対策によって吠えを防止することが有効です。犬舎のスペースを十分にとる、十分な散歩を行う、犬舎から他の犬が見えないようにするなどの対策で、ある程度吠えを防止することが可能です。