アニマルシェルターの構造5 猫舎の構造

猫はケージによる単独飼養が一般的ですが、ケージは意外に広いスペースを要します。ケージ内では猫がえさ入れやトイレに触れずに伸びることができる必要があり、隠れ家や棚も必要です。また餌場とトイレの間は60cm離すことが必要です(この距離が近いと食欲をなくすことがあります)。また広いケージは空気の循環を促進し、シェルターの敵ともいえる猫の上部呼吸器感染症(URI)の防止にも役立ちます。シェルター獣医師会(ASV)は成猫には11平方フィート(1平方メートル)以上のケージを推奨しています。

米国では猫用のケージは2分割ユニットが主流です。つまり、居間(トイレや食事)と寝室(寝床)を別の部屋にし、行き来ができるよう穴が開いていて、片方を清掃する際には閉じることができる構造になっています。既製品のユニットもありますが、既存のケージに猫が通れる穴を開けてつなぎ合わせるDIYもよく行われています。ストレス軽減のため、猫は極力動かさない方がよいので、2分割は理にかなっています。

猫を一室のケージに収容した場合、清掃の際に外に出す必要がありますが、その際には必ず専用のキャリーを用意しそこに入れておきます。複数の猫で使いまわすのは衛生上好ましくありませんし、猫を移動させる際にはキャリーが必要になりますので、キャリーは猫ごとに用意します。

猫の場合も、子猫の社会化のため親や同腹仔と同居させることが望ましいとされています。また猫を長期収容する「サンクチュアリ」と呼ばれるシェルターでは、最大5~6頭の猫を大きな部屋で飼養する「グループハウジング」がよく行われます。猫の数だけ隠れ家兼寝床を設け(ここにキャリーを使うこともできます)、複数のトイレや餌場、水場を設置し、残りのスペースを遊び場にします。もちろんグループ飼養の際には猫同士の相性や健康状態を考慮するべきで、性格の悪い(?)猫や特別な医療ケアが必要な猫は単独飼養すべきです。グループ飼養はあくまでも猫の福祉を目的に行われるべきで、収容数を増加させる目的で導入するのは邪道です。

猫は新しい環境になじむのに数日~数週間を要するので、メンバーの頻繁な入れ替えを嫌います。ですので、譲渡のサイクルが早い通常のシェルターにおいては、個別飼養のほうが良いかもしれません。個別飼養であっても、健康管理が行き届いていれば、昼間は譲渡用の部屋で複数の猫同士遊ばせることでストレスを発散することができますし、猫の活発な様子を見せることで譲渡も促進されます。

猫の感染症、特にURIはストレス管理によって制御できるといわれています。ストレスを軽減するよう設計された適切な住居を提供することは、感染症を防止し、譲渡率を高め、ひいては安楽殺を減らすことにつながります。