アニマルシェルターにおける動物のケア2 地域レベルの群管理

感染症予防やQOL低下防止の観点から、アニマルシェルターにおける過剰収容は厳禁です。また同様の理由で、動物のシェルター滞在期間は極力短くする必要があります。つまり、シェルターが目指すべき方向性は、(1) シェルターにおける動物の収容数を減らし、(2) 入った動物は速やかにライブリリース(譲渡、返還など)することです。それがうまくいけば、譲渡適性がある動物を安楽殺せざるをえないといった悲劇も避けられます。

シェルターに入る動物の数を減らすには、地域レベルでの群管理が必要です。地域レベルの群管理とは、地域の動物(飼育動物+放浪動物、場合によっては野生動物も含む)全体の群管理です。地域の群管理計画はシェルターの能力に依存しますし、逆にシェルターの計画は実現可能な範囲において、地域のニーズによって導き出されるべきです。

シェルターにおける動物の収容数を減らすためのもっとも簡単で効果的な方法は、地域内の譲渡希望者を最大限に増やし(つまりニーズを喚起し)、積極的に譲渡を実施することです。しかしそれには限界があり、シェルターへの入場数を減少させる(すなわち「蛇口を閉める」)ための積極的な対策を講じなければ、シェルターの仕事は無限に続きます。地域における究極の目標は、ホームレスのペットをなくし、シェルターへの動物の収容の必要性を(ゼロにはならないにしても)激減させることです。ホームレスのペットがいなくなると、公衆衛生上の懸念や地域の動物への影響も軽減されます。

地域における適正飼養の啓発や避妊去勢手術の推進など、従来行われていた飼い主教育に加え、地域の健康な動物を管理するための新しい手法が試みられています。例えばマイクロチップ装着、所有者明示の推進、シェルターの収容動物のWeb公示などは、迷子のペットを飼主へ返還するのに役立ち、TNR(または地域猫活動)は野良猫の繁殖を防ぐのに役立ちます。そして、ペットを飼い続けることができるような、飼い主へのサポート(飼い方相談やしつけ教室など)も行われています。これらの活動は、地域の多くの関係者を巻き込んで活性化させることで、地域の重要な課題のひとつとして地域住民に認識されていきます。それは結果的にシェルターの負担を軽減させ、安楽殺数の減少につながります。

地域の動物の群管理に際しては、地域全体の動物の数(飼育動物や野良動物)や野良犬・野良猫の繁殖状況について、ある程度の把握が必要です。また動物が置かれている状況についても、地域によって違いがあります。例えば、比較的温暖な西日本の一部地域においては、野犬の繁殖が問題になっていて、常にシェルターに子犬が持ち込まれます。犬パルボウイルスやバベシアが常在している地域もあります。譲渡率や啓発の効果についても、地域特性が大きく影響します。地域において動物の個体群を管理するには、これらの特性を認識する必要があります。