子猫のFIV検査について

子猫を譲渡する際に、FIVの検査を実施しているかどうかをよく聞かれます。結論から言うと、個人的には子猫、特に生後数か月の子猫については、FIVの検査はあまり意味がないと考えています。その理由についてまとめておきます。

 

感染リスクが低い

FIVの主な感染経路は、けんかによる咬傷です。また感染した妊娠猫から生まれた子猫への感染も、実験的には証明されていますが、まれであるといわれています。離乳前の子猫が他の猫とけんかして咬まれる可能性は否定できませんが、普通に考えてあまりないでしょう。感染の機会がほとんどないことから、子猫がFIVに感染している可能性は極めて低いと考えられます。

 

暴露から検出までのタイムラグ

FIVの簡易検査は抗体検査です。猫がウイルスに暴露してから、検出可能な量の抗体を生成するまで、60日かかるといわれています。もし何らかの原因で離乳前の子猫がFIVに感染したとしても、譲渡適齢期の2ヵ月齢くらいの時点では検査陰性になる可能性があります。

 

移行抗体の影響

母猫がFIVに感染していた場合、その猫が産んだ子猫にFIVが感染することはまれですが、母乳中の移行抗体としてFIVの抗体を受け取る可能性があります。生後6ヵ月齢まではその影響があるといわれ、それまでに陽性の検査結果が出ていたとしても、6ヵ月齢以降の再検査が推奨されます。

 

しかしそれでも検査はした方がよいと、GingrichとLappin(2013)は言います。

 

Maternal antibodies can obscure the results in kittens; however, kittens should be tested as soon as possible to prevent an infected kitten from serving as a source of infection to other cats. A negative result in the vast majority of kittens of any age can be used to declare the kitten free from FIV infection.

“Shelter Medicine for Veterinarians and Staff, Second Edition” 320p

移行抗体は子猫の結果を不明瞭にする可能性がある。ただし、感染した子猫が他の猫への感染源となるのを防ぐために、子猫はできるだけ早く検査する必要がある。あらゆる年齢の子猫の多数の陰性結果は、子猫がFIV感染にさらされていないことを証明するために使用できる。

 

そりゃあ、検査しないよりもした方がいいに決まっています。身も蓋もない言い方をすると、結局のところコストと人手の問題なのです。FIVの検査は簡易検査とはいえ、採血が必要です。受け入れた子猫をすべて検査する余裕のあるシェルターなどほとんどないでしょう。FIVに感染した子猫をそれとは知らずに譲渡してしまうリスクは極めて低いため、検査にかかるコストや人手を考えると、子猫のFIV検査には及び腰になってしまうのが現状です(もちろん6ヵ月齢以降の猫は検査が必要です)。