ウイズコロナ時代の譲渡会

譲渡会というイベントが、いつからどのように始まったかは定かではありませんが、日本においても大正時代には譲渡会のようなことが行われていたという記録が残っていますので、譲渡対象の動物を一斉に公開し一斉に譲渡するという発想は古くからあったものと考えられます。収容動物を譲渡するだけであればアニマルシェルターで個別に対応すればよいのですが、譲渡会にはいくつかのメリットがあります。

 

たくさんの動物と出会える 

「以前飼っていた子に似ている」などの理由で、特定の動物をピンポイントで指名される方もおられますが、様々な動物と触れあった上でいちばんピンときた子を譲り受けるという方ももちろんおられます。そういう人にとって、譲渡会はたくさんの動物と出会える場として貴重です。

 

やはり効率が違う 

譲渡会を開催するメリットは、やはりイベントそのものの集客力です。たくさんの譲渡希望者が訪れ、出会いがたくさんあれば、それにつれて譲渡数も増加します。

 

活動のアピール 

譲渡会を定期的に開催しているという実績そのものが、シェルターの活動のアピールの場になります。活動のアピールは地域の人たちのシェルターに対する理解を深めますし、ボランティアの募集や募金活動にも有利になります。

 

しかしCOVID-19の流行により、多人数を集める譲渡会のようなイベントを開催することは困難となっています。とはいえ、個別に対応するだけでは譲渡が思うように進まないのも事実です。日本よりもCOVID-19の影響が深刻な米国においても、それは大問題です。そこで米国のシェルターでは、オンラインのイベントが試みられています。ASPCA(米国動物虐待防止協会)によると、”streaming concerts”(生配信)や”virtual adoption events”(バーチャル譲渡会)、”digital happy hours”(オンライン交流会)といったイベントが行われています。バーチャル譲渡会とは、例えばソーシャルメディアに譲渡対象の動物を、期間限定で一覧表示するイベントです。その際にはディズニーのキャラクターや特定の毛色など、動物たちを楽しくグルーピングして見せることが効果的です。また動画配信によるバーチャル譲渡会も有効です。Facebook、Instagram、TwitterやYouTubeに加え、ASPCAはTikTokの使用も提案しています。とにかく流行りものに飛びつき、視聴回数を増やせということです。

こういう時代になると、写真や動画の撮影能力も重要になってきますし、動物を紹介するコメントを書く文書力も必要になってきます。ASPCAのホームページには、写真や動画の撮影技術や紹介文の書き方のレクチャーも掲載されています。

出典 https://www.aspcapro.org/virtual-adoption-resources