遺失物法に基づく犬猫の「処分」について その1

現行の遺失物法で、所有者不明の犬猫を「まっとうに」取り扱うと、どうなるのでしょうか。遺失物法第4条第1項の規定により拾得者から警察に提出された物件(この場合は犬猫)について、拾得者が遺失物法の適用を希望すれば(本当はこの規定はおかしいのですが)、その後の処理は警察によって行われます。

所有者が判明すれば返還するのは当然ですが、所有者がわからない場合、警察は遺失物法第7条の規定により「公告」します。公告後3か月を経過しても所有者が判明しない遺失物については、民法第240条の規定に基づき、拾得者が所有権を取得します。

しかし政令で定める物については、2週間以内に所有者が判明しないときには「売却」または「処分」できます。

遺失物法第9条第2項にはこう定められています。

 

2 警察署長は、前項の規定によるほか、提出を受けた物件(埋蔵物及び第三十五条各号に掲げる物のいずれかに該当する物件を除く。)が次の各号に掲げる物のいずれかに該当する場合において、公告の日から二週間以内にその遺失者が判明しないときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。

一 傘、衣類、自転車その他の日常生活の用に供され、かつ、広く販売されている物であって政令で定めるもの

二 その保管に不相当な費用又は手数を要するものとして政令で定める物

 

「政令で定める物」とは、「動物」のことです(遺失物法施行令(平成十九年政令第二十一号)第3条第2項)。「売却」は原則として競争入札等で行われますが、競争入札等で買い手がつかなかった場合等の事情があれば随時契約による売却(欲しいという人にピンポイントで売却する)も可能です(遺失物法施行令第1条)。

また、同法第10条でこう定められています。

 

警察署長は、前条第一項本文又は第二項に規定する場合において、次に掲げるときは、政令で定めるところにより、提出を受けた物件について廃棄その他の処分をすることができる。

一 売却につき買受人がないとき。

二 売却による代金の見込額が売却に要する費用の額に満たないと認められるとき。

三 前条第一項ただし書に該当するときその他売却をすることができないと認められるとき。

 

遺失物法施行令第4条において、処分の方法が定められています。

 

法第十条(法第十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による警察署長が提出を受けた物件の処分は、これを廃棄し、又はこれを引き渡すことが適当と認められる者に引き渡すことにより行うものとする。ただし、動物である物件の処分は、これを引き渡すことが適当と認められる者に引き渡し、又は法令の範囲内で同種の野生動物の生息地においてこれを放つことにより行うものとする。

 

つまり公告後2週間を経過すれば、警察が保管している動物を都道府県等に引き渡すことが可能なのです。(続く)