野犬対策の「落としどころ」について考える

ここで野犬対策における、行政と「愛護者」の主張をまとめておきます。

 

【行政の主張】

・狂犬病予防や咬傷事故防止の観点から、野犬を捕獲していく必要がある

・野犬の捕獲は狂犬病予防第6条に規定された都道府県の義務である

・捕獲した野犬は極力譲渡するよう努力するが、譲渡不適の野犬については殺処分もやむを得ない

・餌やり者の存在が野犬の個体数維持に寄与している

 

【愛護者の主張】

・野犬捕獲の意義については理解する(ここすら理解できない人は「愛護者」ではなく「愛誤者」)

・都道府県による野犬の捕獲は殺処分が前提である

・野犬の理由なき殺処分は「むやみな」殺傷にあたり、動愛法違反である

・捕獲した野犬は譲渡するか、行政が飼い続けるべき

・野犬への餌やりの禁止は餓死前提であり、動物虐待である

 

つまり行政側の言い分は「狂犬病予防や咬傷事故防止の観点から、野犬の捕獲が必要である。餌やりを禁止しないと野犬が減らない」、愛護者の言い分は「殺処分前提の野犬の捕獲は容認できない。餌やり禁止は野犬を餓死させることが目的で、これも容認できない」ということです。

言い換えると「殺処分前提でなければ、野犬の捕獲は容認される」のであって、現実には捕獲した野犬も譲渡対象にしているのですから「殺処分が前提」とはいえません。行政もこのことをハッキリと主張すればよいのですが、イマイチ歯切れが悪いのです。その原因は、不明瞭な基準による、理不尽な殺処分がいまだにまかり通っているからにほかなりません。譲渡により譲渡先で事故が発生するおそれがあるような場合、「譲渡不適」と判断し殺処分せざるを得ないことはもちろんあります。しかしその基準はあいまいで、時間をかければ人慣れする可能性があるような野犬(野犬の多くはそうですが)であっても、その時間と労力を惜しみ、現時点で「譲渡不適」であるからといって殺処分するといったことが現実に行われているのです。そういう後ろめたさが行政担当者の口をつぐみ、その隠蔽体質がさらに疑念を生むのです。理由を公にできないような殺処分をやめることにより愛護者の理解を得ることが、野犬対策の第一歩だと私は思っています。なぜなら、野犬対策がスムーズに進まない最大の原因は、愛護者による捕獲妨害や餌やりだからです。愛護者による妨害をやめさせ、逆に協力させるような発想の転換が必要なのです。