狂犬病予防法とは その1(総則)

狂犬病予防法とは その1(総則)

狂犬病予防法(昭和25年法律第247号)が施行された昭和25年には、国内でも関東などで狂犬病(犬、人、猫、その他)が発生していて、施行6年後の昭和31年を最後に、国内で狂犬病は発生していません(海外で感染して、国内で発症した事例はあります)。この間に、狂犬病予防法に基づき飼い犬への予防注射を義務化し普及させ、野犬を捕獲し処分(ほとんどが殺処分であったと考えられます)、また野犬の薬殺(安楽殺ではない)を行い、狂犬病を根絶させたのです。狂犬病予防法の規定は、国民の生命や健康が最優先で、犬の飼い主の財産権にある程度配慮しているものの、動物愛護や動物福祉といった理念は二の次となっています。

狂犬病予防法は「総則」「通常措置」「狂犬病発生時の措置」「補則」「罰則」の5章から成っています。「総則」は法の適用範囲や用語の定義についての規定です。「通常措置」とは狂犬病を予防するための平時の措置で、犬の登録、狂犬病予防注射、抑留、輸出入検疫につて定められています。「狂犬病発生時の措置」は国内で狂犬病が発生した場合の措置について定められています。狂犬病にかかった(疑いを含む)犬についての届出から始まり、その犬の隔離、公示、けい留命令等、検診や予防注射、病性鑑定のための解剖や殺処分、移動制限や交通のしや断、けい留されていない犬の抑留や薬殺などについて定められています。

狂犬病予防法の目的は「狂犬病の発生を予防し、そのまん延を防止し、及びこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上及び公共の福祉の増進を図ること」(第1条)です。対象とする動物は犬(第2条第1項2号)、猫、あらいぐま、きつね及びスカンク(狂犬病予防法施行令(昭和28年8月31日政令第236号)ですが、犬以外の動物には登録や予防注射、平時の抑留といった規定は適用されません(第2条第1項)。また、1年以内の期間において、種類や地域を限定して政令で適用対象を定めることができます(第2条第2項)。

第3条第1項で「都道府県知事は、当該都道府県の職員で獣医師であるもののうちから狂犬病予防員(以下「予防員」という。)を任命しなければならない」と定められています。予防員は技術吏員が望ましいとされていますが、臨時職員(いわゆる22条職員)や嘱託職員でもよいとされています(「狂犬病予防員任命の疑義について」昭和28年7月24日衛乳第23号)。予防員は「必要数を任命し、各保健所毎に配置する」(「狂犬病予防法の施行について」昭和25年10月5日厚生省発衛第170号)ことが求められていて、「兼任者1名」は「好ましい状態ではない」(「狂犬病予防法解釈上の疑義について」昭和29年9月11日衛乳第47号)とされています。