狂犬病予防法とは その4(犬の抑留)

狂犬病予防法第6条では、犬の抑留について定められています。第6条第1項の規定により抑留された犬は、所有者がわかる場合は所有者に引き取りを求める旨通知します(第6項)。通知は「配達証明郵便又は使送」(施行規則第15条)で行います。鑑札や注射済票のどちらか、もしくはマイクロチップや迷子札が付いている場合がこれに該当します。所有者は通知を受け取った後1日以内に犬を引き取らなければならず、引き取らなければ予防員が処分できますが、引取りの意思を示せば待ってもらえます(第9項)。鑑札や注射済票の装着は狂犬病予防法で定められた義務で罰則規定もありますので、告発まではしませんが、所有者に始末書を書いていただくことになります。抑留中の犬の飼養管理費や返還手数料は、所有者が負担しなければなりません(第23条第2の3)。鑑札と注射済票の両方が装着された犬(めったにお目にかかれませんが)であれば抑留の対象ではありませんし、犬の放し飼いは法で禁じられていませんから、普通に飼い主に返還されます。しかし日本においてはおそらくすべての自治体で犬の放し飼いを禁じる条例が制定されていますので、飼い主は条例違反で始末書を書くことになると思います。

抑留した犬の飼い主が不明の場合、予防員は捕獲場所の市町村長にその旨を通知します(第7項)。それを受けて、市町村長はその旨を2日間公示します(第8項)。そして「公示期間満了の後一日以内に所有者がその犬を引き取らないときは、予防員は、政令の定めるところにより、これを処分することができる」(第9項)とし、処分の際には「あらかじめ、適当な評価人三人以上にその犬若しくは同条に規定する動物を評価させておかねばならない」(施行令第5条)とされています。評価人は、あらかじめ自治体職員の中から任命するか、職員以外の者に委嘱しておく必要があります。評価人は全員が自治体職員でも差し支えありませんが、外部の人を加えることが望ましいとされています(「狂犬病予防法第6条第9項の運営について」昭和34年7月30日衛乳第28号)。

法制定時の時代背景から、ここでいう「処分」は殺処分であることが前提であったと考えられますが、「犬及び猫の引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置について」(平成18年環境省告示第26号)の「第4 処分」において「保管動物の処分は、所有者への返還、飼養を希望する者への譲渡し及び殺処分とする」とされていますし、環境省からの平成19年5月1日付け事務連絡「「狂犬病予防法に基づく抑留業務等について」に係る留意事項について」にて、「狂犬病予防法第6条第9項に基づく処分の決定にあたっては、犬ねこの引取り等措置第3の3に基づき、できるだけ生存の機会を与えるよう努められたいこと」とされていて、処分の際には、極力譲渡によることが求められています。

第10項では「都道府県は、その処分によつて損害を受けた所有者に通常生ずべき損害を補償する」と、犬の所有者の財産権に一応配慮した規定となっています。