狂犬病予防法とは その5(狂犬病発生時の措置)

狂犬病予防法第3章では、狂犬病発生時の措置が定められています。

狂犬病にかかった犬(疑いを含む)やその犬に咬まれた犬を診断や検案した獣医師は、直ちに保健所長にその旨を届け出なければなりません。ただし、獣医師の診断又は検案を受けない場合においては、その犬等の所有者がこれをしなければなりません(第8条第1項)。届出があった保健所長は、直ちにその旨を都道府県知事に報告しなければなりません(第8条第2項)。報告を受けた都道府県知事は、厚生労働大臣に報告し、かつ、隣接都道府県知事に通報しなければなりません(第8条第3項)。その犬等を診断した獣医師又はその所有者は、直ちに、その犬等を隔離しなければなりません。ただし、人命に危険があって緊急やむを得ないときは、殺してもよいとされています(第9条第1項)。隔離後の犬等は、予防員の許可を受けなければ殺してはなりません(第11条)。犬等が死亡した場合は、原則としてその死体を検査又は解剖のため予防員に引き渡さなければなりません(第12条)。予防員は、病性鑑定のため必要があるときは、都道府県知事の許可を受けて、犬等の死体を解剖し、又は解剖のため狂犬病にかかった犬等を殺すことができます(第14条第1項)。

都道府県知事は、狂犬病(疑いを含む)が発生したと認めたときは、直ちに、その旨を公示し、区域及び期間を定めて、その区域内のすべての犬に口輪をかけ、又はこれをけい留することを命じなければなりません(第12条)。また都道府県知事は、狂犬病が発生した場合において、そのまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、期間及び区域を定めて予防員に犬の一斉検診をさせ、又は臨時の予防注射を行わせることができます(第13条)。

都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、期間及び区域を定めて、犬又はその死体の当該都道府県の区域内における移動、当該都道府県内への移入又は当該都道府県外への移出を禁止し、又は制限することができます(第15条)。

都道府県知事は、狂犬病が発生した場合において緊急の必要があると認めるときは、期間を定めて(72時間以内)、交通の遮断や制限ができます(第16条)。また都道府県知事は、必要と認めるときは、犬の展覧会その他の集合施設の禁止を命ずることができます(第17条)。

都道府県知事は、狂犬病のまん延の防止及び撲滅のため必要と認めるときは、けい留命令に従わずけい留されていない犬を、予防員に抑留させることができます。その後の処置は、第6条の規定を準用します(第18条)。