平時の防災対策・その1

公務員獣医師向けの「災害派遣人材育成研修会」(環境省と日本動物福祉協会の共催)をオンラインで受講しています。そこで環境省の担当者による「人とペットの災害対策ガイドライン」についての解説がありました。このガイドラインは災害発生時の「関係者」つまり「飼い主」「自治体」「獣医師会」「民間団体・企業」「国」「ペット災害支援協議会」「現地動物救護本部」等のそれぞれの役割を明確にし、各自治体がマニュアルを策定する際の参考とするものです。私もあまり詳しくないので、この機会に学びをシェアしながら深めていきたいと思います。

ちなみに、対象動物は「家庭動物(犬・猫)」とされています。

 

災害時にペットを守るために重要な心構えはこの3つです。

 

1.飼い主が自らの安全を確保することが、災害時にもペットを適切に飼養することにつながる(自分が無事でなければペットを守れない

2.健康面やしつけを含めたペットの平時からの適正な飼養が、最も有効な災害対策になる(普段から適正飼養を心がけることが重要

3.災害時にはペットを落ち着かせるとともに、逸走やケガなどに注意して、ペットとともに避難する(飼い主責任による同行避難

 

そして防災の原則は、「自助」「共助」により状況を乗り越え「公助」を待つということです。公的支援を待つ間、自身とペットの身は自分で守り、また周りと助け合うことが必要です。

 

飼い主責任による同行避難が必要である理由は

 

・被災者(飼い主)自身の心のケア

・自宅に置き去りにすると、ペットが負傷したり、死亡する可能性がある

・置き去りにされたペットが逃げ出し、周囲に危害を与えたり、繁殖する可能性がある

・逃げ出したペットを保護するためには、多大な労力と資金が必要

・ペットがいることを理由に避難しないことがあってはならない

 

その際には、避難先での適切な飼養管理が必要です。その理由は

 

・他の避難者に迷惑をかけないため

・ペット自身の安全確保と健康管理のため

・ペットのストレスを軽減するため

 

同行避難をスムーズに行い、また避難先でペットの適切な飼養管理を行うためには、平時からの取り組みが必要になります。その多くは特別なことではなく、飼い主として当然すべきことです。次回からはそれを具体的に見ていきましょう。

 

※同行避難とはペットを連れて避難することを指し、避難所でペットと共に過ごすこと(同伴避難)とは区別されます。