安楽殺の具体的理由

ICAMの「The welfare basis for euthanasia of dogs and cats and policy development」(犬と猫の安楽殺と方針立案のための福祉基盤)には、どういう場合に犬猫の安楽殺が検討されるのか、具体的に記されています。

 

健康上の理由

・急性または慢性の疾患(disease)、病気(illness)、病状(condition)、または痛みで苦しんでいる動物で、利用可能な現実的かつ経済的なリソースをもってしても、十分に緩和することができないもの。ここでいう苦しみ(suffering)とは、急性や慢性の疾患、病気、病状のために、「5つの自由」のうちのどれか、またはすべてが制限されていることと定義されます。

・他の動物や人に危険を及ぼす可能性のある急性または慢性の疾患や病気を患っている動物で、特に適切な予防措置が講じられていない場合は注意が必要です。

 

行動上の理由

・恐怖(fear)や苦痛(distress)によって苦しむ行動上の問題を持つ動物で、利用可能な現実的で経済的なリソースをもってしても行動療法でうまく治療できない動物。

・自分自身、他の動物、人、環境にリスクをもたらす行動上の問題を持つ動物で、利用可能な現実的で経済的なリソースをもってしても、うまく治療できないもの。

・現実的なリソースや経済的制約を考慮して、容易には修正できない行動上の問題のため、譲渡(re-home)できない動物。

 

リソースの不足

・予算、人員、専門知識、適切な設備や施設がないために世話や治療ができず、その結果苦しむことになる動物。

・他の多くの動物の利益になる可能性があるスペースを長期間に渡って占有している動物(例:譲渡できない)。

 

後見の不備

飼い主/十分な保護者/地域のケアがないために、「5つの自由」を満たすことができない動物。

 

法的要請

・法律により安楽殺を命じられた動物(例えば、病気の管理のため)。

 

各動物保護機関または団体は、このガイドラインをベースに安楽殺についての方針を定めていくことになります。おそらく最も問題になるのは「リソースの不足」ではないかと思います。