避難中にペットをどこで飼育するかについては、「人とペットの災害対策ガイドライン」に4つの選択肢が提示されています。それぞれにメリットとデメリットがありますから、被災者自身が情報収集のうえ、自ら判断することが必要です。
避難所で飼育する
避難所内でペットと同居する、または避難所内の専用スペースでペットを飼育する場合、避難所が定めたルールに従い、飼い主の責任で飼育する必要があります。また避難所にはペットが苦手な人や動物アレルギーの人もいますから、ペットの管理にも注意が必要です。毛や排泄物の処理など衛生面の配慮も必要です。
一方、避難所におけるストレスはペットの健康にも悪影響を与えますので、ペットの健康管理やストレスの除去にも十分な配慮が必要です。
自宅で飼育する
在宅避難の場合、支援物資や情報は避難所などに自ら出向いて収集することになります。飼い主だけが避難所に避難し、ペットを自宅に置き世話をするために通うという方法もありますが、二次災害のおそれがある場合には同行避難が望ましいとされています。
車中で飼育する
車中避難も在宅避難の一形態といえますが、熱中症やエコノミークラス症候群など、車中特有の問題もあります。特に熱中症はペットにとっても問題です。ペットだけを長時間車中に放置することは避けるべきですし、たとえ短時間であっても、車中の温度に注意し、飲み水を十分に用意しておくことが必要です。
施設などに預ける
同行避難が難しい場合、被災していない地域の親戚や友人など、あらかじめ確保しておいた一時預け先に預けることが理想です。その他自治体等の収容施設、動物病院、民間団体などに一時預かりを依頼する事もできますが、その際にはトラブルを避けるため、覚書等をかわす必要があります。具体的には、以下のような事項について飼い主が同意しておく必要があります。
・預かり期間の設定(具体的に「いつまで」)
・ペットを自ら飼育、または預け先を見つけるよう努力し、一時預かりの必要がなくなれば速やかにペットを引き取る
・預かり期間における健康管理の実施(ワクチン接種等)とその費用負担
・疾病や負傷等の治療(動物病院への搬送を含む)とその費用負担
・他施設や預かりボランティアへの移送の可能性
・預かり期間中のペットの死亡、逸走、負傷についてはその責任を問わず、損害賠償請求等も行わない
・ペットの搬入や搬出は飼い主の責任で行う
・飼い主の連絡先を明確にし、必要に応じて連絡できるようにする
・預かり期間終了後にはペットを速やかに引取る、また連絡なく期限内に引取らない場合には所有権放棄とみなす(ペットを長期間施設に収容することは好ましいことではないため、速やかに譲渡できるよう、こういう規定を設けることが推奨されています)