「動物愛護管理行政事務提要」の読み方・各論編<令和2年度最新版>

前回、「殺処分数ランキング」や「殺処分ゼロ宣言」の無意味さについて説明しましたが、さらに実例を挙げて説明します。ここでお示しするデータは、令和2年度版「動物愛護管理行政事務提要」(※令和元年度実績)から転載しています。元データは環境省のホームページから見ることができます。

 

その中に「犬・猫の引取り及び処分の状況」という項目があり、各自治体で引き取った犬猫の引取り数と処分数(返還、譲渡、殺処分)、および殺処分の内訳が犬と猫に分けて記載されています。北海道を例に挙げ、この表の読み方について説明していきます。※特に北海道に恨みがあるわけではありません。一番上にあったので…。

「引取り数」は動愛法第35条の規定に基づき各自治体が引取った犬猫の数です。同条第1項に基づく「飼い主から」の引取り、同条第3項に基づく「所有者不明」の引取りについて、分けて集計しています。それぞれ「成熟個体」と「幼齢個体」を分けて集計されています。つまり北海道の犬の引取り総数は416+8=424頭となります。

いくつかの自治体では「幼齢個体」欄が空白になっています。「幼齢個体」は管理上特別な扱いが必要で(ミルクや離乳食が必要)、管理記録で分類可能なはずですが、あえてそこを明らかにしないことには何らかの意図があると考えられます。

「処分数」のうち「返還数」は所有者に返還した数、「譲渡数」は新しい飼い主に譲渡した数で、これを合わせた数字がいわゆるライブリリース数(生きたまま解放した数)になります。「殺処分数」は①~③に分類されます。それぞれの定義はこの通りです。

 

① 譲渡することが適切ではない(治癒の見込みがない病気や攻撃性がある等) 

② ①以外の処分(譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難)

③引取り後の死亡

 

この分類については環境省から「動物愛護管理行政事務提要の「殺処分数」の分類」(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/r02/bunrui.pdf) として提示され、②の殺処分を「ゼロ」にすることを目指すとしていますが、担当者による恣意的な分類が可能で、一部自治体による、まやかしの「殺処分ゼロ」宣言(形式上②をゼロにしているだけ)の温床になっています。例に挙げた北海道も、②の2頭に何らかの診断名を付けて①に書き換えれば「殺処分ゼロ」になりますが、そんなセコいことは考えていないようです。

また③の数字にも注目する必要があります。この統計には負傷や疾病による「収容」は計上されていません。「収容」された犬や猫であれば、そのまま死亡する確率は高いでしょうが、所有者不明で引き取った犬や猫が、たまたま致死性の疾病に罹患していて、しかも長くても数週間の保管期間で死亡するなどということは、頻繁にはないでしょう。③が異常に多ければ、管理上の問題を疑ってもいいかもしれません。