「動物愛護管理行政事務提要」の読み方・各論編<令和2年度最新版> その②

前回に引き続き「動物愛護管理行政事務提要」を読んでいきます。前回は犬の数字を読んでいきましたが、今回は猫の数字を読んでいきます。データは例によって北海道の例を挙げていきます。

左側と同じく、右側に猫の欄があります。それぞれの項目については、犬と同じです。北海道の場合、猫の引取り数は629+276=905ということになります。

一番右の欄は、犬と猫を合わせた総数です。念のため、犬の表を再掲します。

引取り総数は、72(犬:飼い主から)+352(犬:所有者不明)+232(猫:飼い主から)+673(猫:所有者不明)=1,329となります。返還数は、190(犬)+15(猫)=205で、譲渡数は203+761=964、殺処分数は25+111=136となります。幼齢個体が内数だったり外数だったりややこしいのがこの表の特徴です。

 

犬と猫では所有者管理の方法が異なりますし、各自治体が抱えている課題も犬と猫では異なるため、(犬・猫合計)の欄はあまり役に立ちません。唯一役に立つとすれば、「真の」殺処分数が数字で表示される※ことです。つまり②の殺処分がゼロであっても、①や③の殺処分数との合算した数字が表示されるわけです。「殺処分ゼロ」と自称している自治体においても、決して殺処分が行われていないわけではないことがはっきりとわかるという点で、この欄の存在意義があると私は考えています。

 

この表を活用するにあたっては、以前述べたように、

・引き取り数は多くないか、または引取り数を極端に絞っていないか

・引取り数に対して、譲渡数が異常に多くないか

・引き取り数に対して、殺処分数が異常に少なくないか

・殺処分の②の数字が不自然に0になっていないか

・殺処分の③の数字が極端に多くないか

といったところに着目すれば、その自治体が抱えている闇が見えてくるのです。次回からは、具体例を挙げていくことにしましょう。

 

※殺処分の①とか②の分類はその動物の状態ではなく、「譲渡適性の有無」で判定されます。たとえ①の殺処分であったとしても、必ずしも獣医学的理由による安楽殺とは限りません。本当は②(管理上の理由)であるのに、何らかの理由を付けて①に付け替えることは普通に行われています。にもかかわらず、②がゼロになったからといって「殺処分ゼロ」を宣言する自治体や、それを鵜呑みにする愛護者(そこは信用するんかい)たちが動物愛護管理行政を歪めていることにそろそろ気付いてほしいものです。