抑留所は長期保管を前提としていない

狂犬病予防法第21条では「都道府県知事は、第6条及び第18条の規定により抑留した犬を収容するため、当該都道府県内に犬の抑留所を設け、予防員にこれを管理させなければならない」と定められています。抑留所は「各保健所管轄区域に1箇所ずつ設置することを原則」とされましたが、必ずしも保健所に設置する必要はなく、保健所に抑留所がない自治体もあります。また抑留所は次の基準を満たすこととされました(「狂犬病予防法の施行について」昭和25年10月5日厚生省発衛第170号)。

 

(1)抑留室の床は排水よく、清掃に便なること。

(2)1頭ずつけい留出来る設備のあること。

 

狂犬病予防法で定められた犬の収容期間は基本的に3日(公示2日+1日)ですから、犬の抑留所は当然のことながら長期収容を前提とはしていません。言い方は悪いですが、犬を3日間生かしておくことができればそれでいい、その程度の施設です。

その後、昭和48年に動物管理法(のちの動物愛護法)が制定され、犬猫の引取りが各都道府県等の義務となりました。まともな自治体は、犬猫の引取りや管理のための専用施設を設置し対応しましたが、多くの自治体は保健所にある犬の抑留所を流用し、犬猫の引取り業務をなし崩し的に保健所の仕事にしていきました。地域保健法で規定されている保健所の14+4業務以外の、根拠不明の業務が加わったのです。私に言わせると、これは犬の抑留所の目的外使用です。

保健所が引取った犬猫は抑留所に3日間程度(もしくは条例で定められた公示期間)保管後、動物愛護管理センターに移送され譲渡または殺処分となるのが一般的です※。それならまだよいのですが、保健所で譲渡を行う自治体が増えてきたことにともない、引取られた犬猫が譲渡を待つ間、保健所の抑留所で長期間保管されるケースが増えてきました。

何度も言いますが、抑留所は「犬を3日間生かしておくこと」を目的とした施設で、それ以上の期間の保管は想定されていません。犬がストレスを感じることなく長期間過ごすことができるような施設ではありません。また抑留所は犬の抑留を前提にした施設ですので、猫用の部屋などありません。抑留所内に猫用ケージを置いて対応することになりますが、猫は犬の存在自体がストレスになりますし、犬と猫では求められる温度管理も異なりますから、犬と同じ部屋で保管するなどとんでもない話です。

それでも愛護者たちは保健所における保管期間を延長しろと主張します。動物愛護管理センターに移送されることは、すなわち殺処分を意味すると彼らは信じているからです。しかし前述のとおり、犬猫をいつまでも保健所の抑留所に留め置くことは、動物福祉上容認されることではありません。犬猫を一定期間後に動物愛護管理センターに移送することは、動物福祉の観点から理にかなっています。もしくは信頼できる動物愛護団体に、保管を委託することを検討してもよいかもしれません。

 

※ 離島など、動物愛護管理センターへの移送が困難な保健所においては、引取った犬猫は現地で譲渡または殺処分されます。