動物輸送についての法的規制

前述のとおり、動物を輸送することにはリスクもあります。そのリスクを最小限に抑えるため、動物の輸送については法的規制があります。

米国ではアニマルシェルター間の動物の輸送は一般的に行われていて、州を越えて移動することも珍しくありませんし、国境を超えることもあります。米国で州をまたいで動物を輸送する場合、連邦法や州法の規制を受けます。またASV(シェルター獣医師会)の”Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters(2010)”※1には”Animal Transport”という節が設けられ、動物の輸送に関する注意点が記載されています。

日本では「第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(平成 18 年1月 20 日環境省告示第 20 号)」中の「第5条の四」で、動物の輸送について定められています※2。

 

動物の輸送は、次に掲げる方法により行うこと。他者に委託する場合にあっても、次に掲げる方法により行われるようにすること。

 

ここでは主に輸送設備(動物の輸送に係る設備)に関する規定や、輸送中の動物の管理等が定められています。これは動物取扱業者が守るべき基準であって、厳密に言えば自治体が動物管理や譲渡のために動物を輸送する際にはこの規定は適用されないのですが、自治体は業者を指導する立場ですから、これに準じた輸送を実施するべきです。

自治体が引取った動物を遠方に輸送することは想定されていないので、そもそも関係ないと思っている行政担当者もいるでしょうが、保健所等で引き取った動物を動物愛護管理センターに「輸送」することは珍しいことではないでしょう。また野犬を捕獲して現場から連れ帰るのも「輸送」にあたります。はたしてそういった際に、「細目」の規定に基づいた取り扱いができているかどうか、点検してみることをお勧めします。

ASVの「ガイドライン」にもこう書かれています。

 

However, the recommendations in this section should apply regardless of the purpose, distances or parties involved, as careful management and planning are always required to ensure animals’ comfort and safety and minimize risk of disease transmission.

ただし、動物の快適性と安全性を確保し、病気の伝染のリスクを最小限に抑えるには、常に慎重な管理と計画が必要であるため、本節の推奨事項は、目的、距離、関係者に関係なく適用する必要がある。

 

※1  https://www.sheltervet.org/assets/docs/shelter-standards-oct2011-wforward.pdf

※2 動物の輸送については「第二種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(平成25年4月25日環境省告示第47号)」にも全く同じ規定があります。