日本において動物を輸送する際の設備(輸送設備)については「第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目(平成 18 年1月 20 日環境省告示第 20 号)」※1で定められています。「細目」をベースに、ASVの”Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters(2010)”※2で補足していきます。
輸送設備の大きさ
輸送設備の大きさについては、「細目」でこう規定されています。
輸送設備は、個々の動物が自然な姿勢で立ち上がる、横たわる、羽ばたく等日常的な動作を容易に行うための十分な広さ及び空間を有したものとすること。ただし、動物の健康及び安全を守るための特別な事情がある場合は、この限りでない。(第5条四のニ)
「ガイドライン」にも同様の記載がありますが、加えてこう記されています。
Unfamiliar animals must not be transported together in the same primary enclosure. If more than one animal is in the primary enclosure, there must be enough space for each occupant to lie down comfortably at the same time without needing to lie on top of each other.
慣れていない動物を同じ輸送設備で輸送してはならない。複数の動物が輸送設備に入っている場合、それぞれの居住者がお互いに重なり合うことなく、同時に快適に横たわれるような十分なスペースが必要である。
輸送設備の構造
輸送設備の構造については、「細目」でこう規定されています。
輸送設備は、確実に固定する等により衝撃による転倒を防止すること。(第5条四のイ)
衛生管理、事故及び逸走の防止並びに周辺の生活環境の保全に必要な措置を講じること。(第5条四のリ)
「ガイドライン」にも同様の記載がありますが、加えてこう記されています。
There should be no sharp edges. Flooring must prevent injury, discomfort, and leakage of fluids into other enclosures. Absorbent bedding should be provided.
(輸送設備には)尖った部分があってはならない。床は、怪我、不快感、他の設備への液体の漏れを防ぐものでなければならない。吸水性のある敷物を用意する必要がある。
その他の注意事項
「ガイドライン」にはこのような記述もあります。
Unless orphaned, kittens or puppies less than 8 weeks old should be transported with the mother in a space large enough for her to lie down on her side with legs extended for comfort and to facilitate nursing.
孤児でない限り、生後8週間未満の子猫や子犬は、快適さと授乳を容易にするために、足を伸ばして横向きに寝ることができる十分な広さのスペースで、母親と一緒に輸送する必要がある。
Animals should not be sedated unless recommended by a veterinarian because this can make them more vulnerable to hypothermia, dehydration, and injury.
獣医師が推奨しない限り、動物に鎮静剤を投与してはならない。鎮静剤を投与すると、低体温、脱水、怪我などの影響を受けやすくなる。
※1 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/laws/r02_nt_h180120_20.pdf
※2 https://www.sheltervet.org/assets/docs/shelter-standards-oct2011-wforward.pdf