輸送の際に配慮が必要な動物

AVMA(米国獣医師会)※によると、動物の輸送の可否については以下のカテゴリーに分けられます。

 

輸送すべきではない 

・輸送先のアニマルシェルターに感染症を蔓延させるおそれがある動物

・攻撃性が高い、または人獣共通感染症により公衆衛生上のリスクをもたらす動物

 

推奨しないが、輸送が認められる場合がある

動物福祉上輸送は望ましくないものの、輸送先のリソースによっては輸送が認められる場合があります。例えば

 

・妊娠中の動物

・高齢の動物

・負傷や関節炎の動物

・衰弱している動物

・けがや病気からの回復中の動物

 

その場合は、極力輸送時間を短くするよう配慮が必要です。空輸の場合は自家用機が望ましいですが、商用機を用いる際には客室に乗せることが理想的です。感染症のおそれがある場合には隔離して輸送します。

 

判断に注意が必要な動物

このような場合は輸送の可否を単純に判断せず、輸送元のシェルターの事情や輸送先のシェルターのリソースなどにより総合的に判断します。

 

・子犬や子猫は輸送のストレスからのレジリエンス(回復力)が高いと考えられ、輸送に適していると判断されがちですが、免疫力が低く感染症のリスクが高いことに注意すべきです。なお米国においては多くの州で、8週齢未満の子犬や子猫を州をまたいで輸送することが禁じられています。また商用機で8週齢未満の子犬や子猫を空輸することも原則できません。

 

・成犬の場合、犬糸状虫の感染リスクだけで輸送の可否を判断すると、ウイルス性疾患のリスクを見落とす可能性があります。

 

輸送の際に配慮が必要な動物

・短頭犬種は輸送による死亡リスクが高いため、特別の配慮が必要です。ANMAが短頭犬種の輸送についてのQ&Aを公開しています。

・猫を輸送する際には、犬と物理的に区画された極力静かな場所に配置する必要があります。また輸送容器内に隠れる場所が必要です。2時間以上の移動の際にはトイレが必要です。

 

※ https://www.avma.org/sites/default/files/2020-03/AWF-TransportAdoptionBestPractices.pdf