「中間者」という存在

英国の動物愛護団体International Cat Care(ICC)は、飼い主のいない猫を「人間との生活に不向きで、かえってストレスになる猫」と「野外生活に不向きで、人間による庇護が必要な猫」に分類し、前者はTNR(Trap-Neuter-Return)により段階的かつ人道的に個体数を減少させる、後者は保護し譲渡するとしていますが、その中間の「人間との生活に不向きだが、人間による庇護が必要」な猫の存在を指摘しています。ICCはそのような猫をInbetweener(中間者)と名付け、以下のように定義しています※。

 

This is an additional category of cat which is not usually identified until such cats come to the attention of homing centres.

これは、ホーミングセンターの目に留まるまで、通常は特定されない猫のカテゴリーである。

homing centreとはいわゆる譲渡施設、すなわち譲渡のために猫を一時的に収容する施設です。Inbetweenerは、見た目だけでは区別できません。homing centreに収容されてはじめて、その存在が認知されるのです。

Inbetweenerは人間との交流が苦手で、飼い猫としてうまく生きていけなかった猫です。その理由は

 

・They have not had sufficient or the right quality of interaction with people as young kittens

・幼い子猫の頃、人間との交流が量・質ともに十分ではなかった。

 

そして、

 

・They have a temperament trait that means they can become very frustrated with people and see their behaviour as unpredictable or unwelcome

・人間に対して攻撃的行動を示すことがあり、それが突発的行動や問題行動とみなされてしまうような気質を持っている。

 

しかし、

 

・Are not able to live successfully as street cats because they require some support from people

・人間によるサポートを必要とするため、通りの猫としてうまく生きていけない。

 

また、

 

・May only feel comfortable if completely in control of the amount and type of contact they have with people

・人々との接触の量と種類を完全に制御している場合にのみ、快適に感じることができる。

 

という性質を持っています。つまり、野外でも家庭でもうまく生きていけない猫なのです。

 

※ https://icatcare.org/unowned-cats/the-different-needs-of-domestic-cats/