「中間者」を保護する

社会化に失敗した元飼い猫、つまりInbetweener(中間者)は、人慣れしていないものの人間の庇護が必要なため、野に放つことができません。Inbetweenerの人道的処遇については次の方法が考えられます。

 

① (再)社会化して譲渡する

② そのまま譲渡する

③ 放し飼いにする

 

当然のことながら①が望ましいのですが、人慣れしていない猫の(再)社会化は不可能ではありませんが、かなりの時間とスキルが必要です。それは譲渡施設への長期収容を意味するので、預かりボランティアなどをうまく活用することによりその欠点をカバーできれば可能ではあると思います。いっそのこと、理解ある飼い主に譲渡してしまおうというのが②の考え方です。

International Cat Care(ICC)が提案しているのが③です。世話人がInbetweenerにねぐらや食料などを提供し、避妊去勢手術やワクチン接種、駆虫などを施したうえで、農場など広大な敷地で「放し飼い」にするわけです。これは見た目にはTNRMと変わりませんが、独特の注意点があります。

 

世話人が必要 

放し飼いのInbetweenerはあくまでも「飼い猫」ですから、必ず世話人が必要です。ICCもこう述べています※。

 

You can make your Inbetweener Project open to communities as well as individuals if you wish, although one or two persons would need to be made the cat’s (or cats’) official carers. 

Inbetweener Projectは、個人だけでなく団体にも門戸が開かれていますが、1人か2人がその猫(または猫たち)の正式な世話人になる必要があります。

 

遠くに行かないよう配慮する 

本来であれば猫の屋外飼育は推奨されません。放し飼いのInbetweenerも「飼い猫」ですから、極力敷地外に出ないよう配慮する必要があります。Inbetweenerを含む人慣れしない猫を放し飼いにする”Outlet Cat”プロジェクトを実施しているBattersea Dog & Cats HomeのアドバイザーのEvy Mayesもこう述べています※。

 

Unlike a typical family pet, an outlet cat is likely to keep its distance and stay away from people. It may also be more likely to hunt than a typical pet cat and so may need some space, but it is important that the outlet cat is fed daily to encourage it to remain in the area.

一般的なペットの猫とは異なり、outlet catはその距離を保ち、人から遠ざかる可能性があります。また、一般的なペットの猫よりも狩りをする可能性が高いため、ある程度のスペースが必要になるかもしれませんが、outlet catがその場所に留まるように、毎日餌を与えることが重要です。

 

※ https://icatcare.org/unowned-cats/cat-friendly-homing/outcome-alternative-lifestyles/