アニマルシェルターの法的規制※2021年改訂版(1) 規制の対象

いわゆる「数値規制」を盛り込んだ「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(基準省令)(令和2年政令第240 号)」が、一部の経過措置を除き、令和3年6月1日から施行されます。民間人や団体が設置するアニマルシェルターの一部にも、この規定が適用されます。そこで、アニマルシェルターを念頭に、求められる動物の取り扱いについておさらいしていきたいと思います。

 

規制の対象

基準省令が適用されるのは「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者」です、「第一種」は営利目的で動物を取り扱う業であり、非営利のアニマルシェルターは基本的に該当しませんが、「譲渡」と称して実質的に犬猫を販売しているような場合は「第一種」に該当する場合があります。

非営利のアニマルシェルターは「第二種」の「譲渡し業」に該当しますが、すべてが対象になるわけではありません。人の居住部分と区分できる飼養施設において、一定数以上の頭数を飼養または保管する場合に限られます。対象となる頭数は動物種によって異なりますが、犬や猫などの中型哺乳類は「10頭以上」とされています。

つまり、きわめて小規模のシェルターや預かりボランティアに関しては対象外ということになります。また行政機関は対象外ですが、シェルターに指導する立場の行政機関が範を示すことは当然といえます(by環境省)。もちろん対象外であっても、基準省令に準じた取り扱いが望ましいことは言うまでもありません。

設置の届出

対象のシェルターの設置者は所在地を管轄する都道府県または政令指定都市に「第二種動物取扱業届出書(様式第11の4)」を提出する必要があります。「種別」は「譲渡し」に該当します。また届出に係る事業が、他法令の規定により行政庁の許可、認可その他の処分又は届出を必要とするものであるときは、その手続の進捗状況について「備考」欄に記入します。例えば犬を10頭以上飼養する施設については、化製場法に基づく「動物の飼養又は収容」の許可を取得しなければならない場合があります。また鶏などの家畜家禽を対象にしたシェルターの場合、都道府県の農林部局への届出が必要な場合があります。

「譲渡し」の場合、「第二種動物取扱業の実施の方法(様式第11の4別記)」を添付する必要があります。そこには「譲渡しようとする動物の特性及び状態に関する情報の提供の方法」や「動物の治療、ワクチン接種等に係る証明書の交付の方法」について記載します。また「犬又は猫の飼養又は保管を行う場合」にはケージ等の規模を示す平面図・立面図が必要です。その他、登記事項証明書(設置者が法人の場合)、飼養施設の平面図、飼養施設の付近の見取図(地図)を添付する必要があります。

届出ですので、手数料はかかりません。届出の際の現地確認は必須ではありませんが、担当職員が施設を見に行くことが多いと思います。

第二種動物取扱業者には、基準省令を順守する義務があります。違反すれば行政指導、場合によっては告発等の行政処分が科されます。