アニマルシェルターの法的規制※2021年改訂版(3) ケージ等の規模②

運動スペースの考え方 

「分離型」のケージで飼養している場合、1日3時間以上運動させることができる運動スペースが必要です。

・運動スペースは飼養施設の一部とみなされるため、例えば外部のドッグランの使用や散歩などによる代替は認められません。

・運動スペースは専用で、常時使用可能でなければなりません。ですので、すでに「一体型」ケージ等として使用されているスペースを運動スペースとして使うことはできません。

・運動スペースの交代利用は認められますが、夜間の休息時間等を考慮すると、常識的に1日3回(午前、昼、午後)の入れ替えが限度であると考えられます。

・運動スペースは屋外でも可ですが、飼養施設としての基準(遮光、風雨を遮る設備等)を満たす必要があります。

 

ケージ等の床面積の計算 

ケージ等の床面積は、ケージ等の全体の大きさから算定するので、トイレや餌場等を除外する必要はありません。また「一体型」の中に休憩用のケージを置く場合、全体的に「一体型」の基準を満たしていれば、そのケージは「分離型」の基準を満たす必要はありません。

 

基準の除外 

これらの基準は「傷病動物や一時的な保管等の特別な事情がある場合」には除外されます。例えば傷病や出産等で、特別な管理が必要な場合がここに含まれます。

「一時的な保管」についてはペットホテルでの数日間の預かりやトリミング時の数時間の預かりといった場合が想定されています。アニマルシェルターにおいては滞在期間を極力短くすることが求められ、早ければ数日で譲渡や移送されることも想定されますが、これが「一時的な保管」に該当するかどうかは微妙です。譲渡し業についての具体的記述はないものの、販売業について「解説書」にはこう記載されています。

 

同じ数日間であっても、販売業の場合は、販売されるまでの期間が事前にわからないため、一時的な保管には該当しない。

 

裏を返せば、保管期間が事前にわかっていれば「一時的な保管」に該当するというわけです。受け入れ時に譲渡先がすでに決定していて、数日以内の引き渡しが確定しているような場合は「一時的な保管」に該当すると考えられます。しかし一般的にアニマルシェルターで譲渡対象の動物を飼養する場合、健康観察や慣らしをしながら譲渡先を探すことになります。つまり保管期間が確定しないことについては販売と同じですので、たとえ数日以内の譲渡が見込まれる場合においても「一時的な保管」には該当しないと考えるのが妥当だと思います。