アニマルシェルターの法的規制※2021年改訂版(8) 動物の健康管理

動物取扱業においては、飼養している動物の健康管理が求められます。第二種動物取扱業で犬猫を飼養する場合、「基準省令」では以下のように定められています。

 

導入時の検疫(努力義務)

・新たな動物の飼養施設への導入に当たっては、当該動物が健康であることを目視又は導入に係る契約の相手方等からの聴取りにより確認し、それまでの間、必要に応じて他の動物と接触させないようにするよう努めること。

※これは努力義務とされていますが、アニマルシェルターにおいては感染症リスクの観点から検疫は必須と考えられます。

 

日常の健康管理

・飼養又は保管をする動物の疾病及び傷害の予防、寄生虫の寄生の予防又は駆除等日常的な健康管理を行うこと。

・疾病の予防等のために、必要に応じてワクチン接種を行うよう努めること。

※疾病予防のためのワクチン接種は努力義務とされていますが、アニマルシェルターにおいては少なくともコアワクチン(全ての動物に接種すべきワクチン)を接種すべきと考えられます。すなわち犬であれば「5種混合」+「狂犬病」、猫であれば「3種混合」が必須といえます。

・動物が疾病にかかり、又は傷害を負った場合には、速やかに必要な処置を行うとともに、必要に応じて獣医師による診療を受けさせること。

・ねずみ、はえ、蚊、のみその他の衛生動物により動物が健康被害を受けないよう、その発生及び侵入の防止又は駆除を行うこと。

 

獣医師による健康診断

1年以上継続して飼養又は保管を行う犬又は猫については、毎年1回以上獣医師による健康診断を受けさせ、その結果を記載した診断書を5年間保存すること。

※譲渡できずに1年間以上シェルターに滞在している犬猫については、獣医師による健康診断が必要です。その後譲渡や死亡等によってその犬猫がシェルターからいなくなったとしても、診断書を5年間保存する必要があります。犬猫の滞在期間が5年を超えるような場合、診断書の保管は義務付けられませんが、健康管理の観点から少なくともそのシェルターに滞在している間は診断書を保管し、譲渡先に引き継ぐことが望ましいといえます。

 

健康管理情報の提供

・譲渡の際には、飼養又は保管の間に治療やワクチン接種等を行った動物について、獣医師が発行した治療やワクチン接種等に係る証明書を譲渡先に交付すること。

・当該動物を譲り受ける際に受け取った治療やワクチン接種等に係る証明書がある場合には、これも併せて交付すること。

※シェルターにおける処置記録、および前飼い主から引き継いだ処置記録については、譲渡の際に新しい飼い主に引き継ぐ必要があります。