野良猫「引取り拒否」から1年 ⑥まとめ

ここまで読んでいただいた方には、自治体による安直な「垂れ流し譲渡」も、野良猫の「引取り拒否」も、同じ文脈にあることにお気づきいただけたかと思います。すこしきつい言い方をすると、どちらも見た目の「殺処分ゼロ」を演出するための自治体の悪知恵であるといえます。

猫の引取り数が多すぎてにっちもさっちもいかない自治体が存在することは事実ですし、引取り拒否したい気持ちは理解できます。だからといって、ひたすら引取り拒否を行っても目先の収容数や殺処分数が減るだけで、物事の根本的な解決にはつながりません。そこで求められる視点について、私見を述べてこの連載を終了したいと思います。

 

TNRや地域猫活動の推進

引取りを拒否してもいいのは、地域猫等の「さくらねこ」のみです。避妊去勢手術済みの「さくらねこ」は繁殖しませんし、繁殖行動に起因する問題行動(尿スプレーや鳴き声など)も少ないので、そもそも引取る必要はありません。TNRや地域猫活動などの入口対策を愚直に実行していけば、引取らなければならない猫は飼い猫等の人慣れした猫と幼齢や負傷等で自活できない猫だけになります。

個人的には、平成24年の「附帯決議」で「官民挙げて一層の推進を図ること」とされた「地域猫対策」が未だに法制化されず、自治体の自主的な取り組みに委ねられていることに強い不満を持っています。自治体内で予算と権限を握っている人たちは、法的根拠がないとなかなか動かないからです(ウチの自治体は特にひどい)。

 

飼い猫(迷い猫)は保護対象である

飼い猫や迷い猫、捨て猫といった「人間による庇護」が必要な猫の引取りを求められた場合、引取りを拒否し元の場所に戻すよう指示する行為は遺棄の教唆にあたり、動物愛護法違反に問われる可能性があります。人慣れした猫は保護したうえで飼い主への返還や譲渡を行うべきです。

 

所有権の問題

人慣れした猫の場合、所有権の問題が生じます。もし本当の飼い主が存在する場合、数日の「公示期間」が満了したからといって、所有権が自治体に移るとは法令には一言も書かれていませんし、ましてやそれをもって譲渡や殺処分を行うことは、財産権を侵害する行為で憲法違反です。所有者不明で引取られた犬猫の所有権の自治体への移転に関しては、例えば米国においては法制化されており、本来であれば環境省が立法措置を講じる必要があると私は考えますが、それを待っていても埒があきません。現実的な対応としては、少なくとも遺失物法で規定されている2週間の公示期間は保管しておくというものです。これとて法的に正しい措置とは言い難いですが、所有権の問題を理由に所有者不明猫の引取りに反対している人たちも、折衷案として容認している方法です。キャパシティの問題で自治体が保管できないというのであれば、預かりボランティアを活用するのも一手だと思います。