猫の行動評価

そもそも、猫が「人慣れしていない」というのは誰がどうやって判断するのでしょうか。これはアニマルシェルターに収容された猫の生死にかかわる重要事項です。Alley Cat Alliesはこう警鐘を鳴らしています※1。

 

All cats, not just feral or community cats, can become extraordinarily stressed when entering shelters or rescues, exhibiting behavior that is often misunderstood. For example, a companion cat who has always been in an indoor home could become agitated upon entering a shelter environment – primarily because it is a strange setting that frightens her.

野良猫や地域の猫に限らず、すべての猫はシェルターや保護施設に入ると特別なストレスを感じ、誤解されがちな行動をとることがあります。例えば、ずっと室内で暮らしていたコンパニオンの猫は、シェルターに入ると興奮することがあります。これは主に、見知らぬ環境に怯えているからです。

 

またAlley Cat Alliesは、十分に教育を受けていないスタッフが猫の行動評価を行い、安楽殺の根拠とされてしまうことを危惧しています。

野良猫と怯えたペットの区別は重要事項であるにもかかわらず、安易に「見た目」で判断してしまうところがあります。そこで社会化された猫の客観的な評価方法として、ASPCA(米国動物虐待防止協会)は”Feline Spectrum Assessment ”(FSA)※2という行動評価法を作成しました。”Is That Cat Feral?”というウェビナー※3で概要が説明されています。詳細はそちらを参照していただくとして、簡単に言うと

 

・受け入れた猫は少なくとも48時間(3暦日)評価する。

・評価中はストレスのかからない環境に収容する。

・一定時間内にこれらの行動の有無を観察する。

・社会化されている猫の行動として観察する事項は下のとおり。

・ただし社会化されたすべての猫が、観察時間中に必ずこれらの行動を示すとは限らない。また半数以上の猫は、初日にこれらの行動を示さない。そのため2日目の朝と3日目の朝に特定事項のチェックを行う。

 

日本においては、野良猫を単に「人慣れしていないから」という理由で「譲渡不適」と判断して殺処分したり、逆に行動評価することなく安直な譲渡を行ったりということが普通に行われています。FSAやそれに準じた客観的な行動評価を行い、必要があればその結果を公開するくらいの気持ちで業務にあたらねばならないと、自戒を含め思っています。

 

※1 https://www.alleycat.org/calling-out-the-dangerous-ideas-behind-socially-conscious-sheltering/

※2 https://www.aspcapro.org/sites/default/files/Feline-ality%20Guide_PRO.pdf

※3  https://www.aspcapro.org/training/webinar/cat-feral-0