「移住」を避けるための方策

Alley Cat Alliesは野良猫を他の土地に「移住」(relocation:ニュアンス的には「強制移動」が正しいかもしれません)させることは猫の生命を守るための最終手段であって、積極的に行うべきではなく、たとえ正しい手順を踏んだとしてもリスクが大きいとしています。そのため、安易に「移住」に頼るのではなく、TNRに誘導していく方法についてケース別に述べています※。

 

自治体が地域から猫を排除しようとしている

Animal control wants to clear an area of cats.

職員に移住のデメリットを説明し、猫をそのままにしておくよう依頼します。特に「真空効果」(地域から野良猫を排除したとしても、他の野良猫がそこに入ってくる)について説明します。そしてTNRこそが唯一の人道的かつ効果的な方法であり、そのための協力を惜しまないことを伝えます。

 

猫の生息地で工事や解体作業が行われている

Construction or demolition is taking place where cats live.

開発業者は工事現場周辺の住民の要望に応えてくれることが多いので、野良猫をそこに留めるための計画への協力をお願いしてみるとよいでしょう。現場監督と打ち合わせて、工事の影響が最も少ない地点を把握します。工事期間中は必要に応じ、餌場やねぐらを安全な場所に移します。すぐ近くに安全で比較的静かな場所があり、かつ工事現場から完全に離れている場合は、餌場やねぐらをそこに移動させることもできます。

 

隣人が庭に猫が入ることを嫌がっている

A neighbor is frustrated that cats in your yard wander over to his.

懐疑的な隣人(skeptical neighbors)と野良猫との仲を取り持つには、開かれた対話が一番です。TNRの利点を隣人に話してみましょう。入ってほしくない場所に猫が入るのを防ぐために、人道的な抑止策を取ることを提案します。

 

地域の猫の養育者が引っ越すことになった

You are a community cat caregiver and you are moving out of the area.

可愛がっていた猫たちを新しい場所に連れていきたい気持ちは理解できますが、猫たちのすみかはこの土地であることは理解しなければなりません。その代わり、近所の人や地元の親友にあなたの役割を引き継いでもらえるかどうか相談してください。彼らに給餌などの世話の方法を教え、時々見に行ってください。また、猫の世話をしている人たちのネットワークを使って、新しい養育者を探すこともできます。

 

「移住」が認められるのは、大規模火災や洪水などの災害によって、野良猫のすみかが失われたような場合に限られます。自治体担当者や利害関係者、開発業者などの協力が得られず、野良猫のすみかが失われるような場合にも「移住」が検討されますが、「移住」を回避するための努力を最後まで行うべきです。

 

※ https://www.alleycat.org/community-cat-care/relocation-the-last-resort/