飼い主教育の重要性

このブログのテーマは「犬猫の殺処分について考える」ことです。私の一貫した主張はこのとおりです。

 

・殺処分は最終手段であり、行政都合により安易に実施してはならない。

・殺処分は必ず安楽殺により実施されるべきで、安楽殺の質を向上させるための調査や技術開発を怠ってはならない。国はそれを自治体に丸投げすることなく、積極的に調査を行い情報提供しなければならない。

・安直な譲渡や引取り拒否など姑息な手段を用いて、見せかけの「殺処分ゼロ」を演出することは許されない。

・殺処分回避を目的とした安直な譲渡は実施すべきではない。少なくとも自治体による譲渡の際には、適切なマッチングとNBA(譲渡前避妊去勢手術)を実施すべきである。

 

そして本当の「殺処分ゼロ」を実現するためには、自治体に引取られる犬猫の数をゼロ(もしくは極めて少数)にする必要があります。自治体に引取られる犬猫とは、端的に言うとこの2パターンに分類されます。

 

・飼い主が手放した犬猫

・飼い主によって遺棄された犬猫、もしくはその子孫

 

なぜこのようなことが起こるのかというと、

 

・安易に犬猫を飼い始める人が多い

・避妊去勢手術の普及率が低い

 

ことに尽きます。それはすなわち「飼い主教育の貧困」なのであって、わが国の動物愛護に対する民度の低さを示しています。購買意欲をあおるようなペット販売や、「もらってくれるならそれでいい」と言わんばかりの安易な譲渡などにより安直に犬猫を飼い始める人が、全てとは言いませんがかなりの数を占めているのではないでしょうか。そういった飼い主が自ら勉強し、飼い主としての自覚に目覚めてくれればよいのですが、飽きたり持て余したりして飼えなくなり、結局手放してしまうというケースも散見されます。

そういった動物が直接自治体に持ち込まれればまだ救いがありますが、野に放たれてしまうとさらに大きな問題が生じてしまいます。日本中に野良犬や野良猫が存在している理由は、単に飼い主に遺棄されたというだけではなく、遺棄された犬猫が野外で繁殖した結果であることは言うまでもありません。

飼い主教育の貧困は、避妊去勢手術の実施率の低さとリンクしています。「人間と動物は別物」と割り切ることができる西洋人と異なり、伝統的に「生命は平等」と考える日本人は、手術により動物の生殖能力を奪うということに対する嫌悪感が強い※のです。特に日本人に対しては、避妊去勢手術のメリットとデメリットを示した上で、メリットがはるかに上回ることを丁寧に説明しなければなりません。つまりレベルが一段階高い飼い主教育が必要なのです。

 

※ これが、私が「不妊去勢手術」という公的な用語を用いず「避妊去勢手術」という表現を用いている理由のひとつです。