Spay-Neuter Programの実施形態

Spay-Neuter Programは様々な形で提供されています。ASV(シェルター獣医師会)の”The Association of Shelter Veterinarians’ 2016 Veterinary Medical Care Guidelines for Spay-Neuter Programs”ではこう紹介されています。

 

Over the past decade, spay-neuter practice has emerged as a rapidly growing area in clinical veterinary medicine. Currently available spay-neuter services include designated stand-alone spay-neuter practices in stationary and mobile clinics, MASH-style operations, shelter services, community cat programs, and voucher systems as well as other in-clinic programs provided through private practitioners. Many veterinarians provide spay-neuter services to large numbers of patients on a regular basis. Spay-neuter programs have also been incorporated into clinical training programs for students at most veterinary colleges in the United States.

過去10年間で、避妊去勢手術は臨床獣医学の中で急速に成長している分野として浮上してきました。現在提供されている避妊去勢手術のサービスには、固定式および移動式クリニックでの指定された単独の避妊去勢手術、MASH形式の手術、シェルターサービス、community cat program、バウチャーシステムのほか、個人開業医によって提供されるその他のクリニック内プログラムがあります。多くの獣医師は、多数の患者に定期的に避妊去勢手術を行っています。また、米国のほとんどの獣医大学では、学生の臨床研修プログラムにSpay-Neuter Programが組み込まれています。

 

つまり、

 

・低コストの避妊去勢サービスに特化した「スペイクリニック」(固定式、移動式)

・MASH(出張手術サービス)

・アニマルシェルターにおけるサービス(主にNBA(譲渡前避妊去勢手術)ですが、地域住民のペットの手術を受け入れているところもあります)

・community cat program(直訳すると「地域猫活動」ですが、日本の「地域猫活動」よりもざっくりとした感じの活動です)

・クーポン券の配布(原資は寄付金または税金)

・一般の動物病院が社会貢献活動として実施

 

ということになろうかと思いますが、実をいうとこれらは日本でも実施されています。

ちなみに獣医大学の臨床実習にSpay-Neuter Programを組み入れようとする試みは、例えば山口大学共同獣医学部で行われていますが、一部団体からの「獣医師法に抵触する」との抗議により多少後退したのが残念です(詳しくはここをご覧ください)。

また「多くの獣医師は、多数の患者に定期的に避妊去勢手術を行っています」というのは、例えばスペイクリニックやMASHなどにおける一斉手術のことを指しています。日にちを定めて集中的にHQHVSNを実施するほうが効率的だからです。