ASVの”Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters”(2010)には、犬や猫のエンリッチメントの具体的方法が記されています。その中で最も重視されているのが「人間とのふれあい」です。
人間との交流
犬や猫は人間と共に生きていくように改良された伴侶動物ですから、人間との交流が不可欠です。「ガイドライン」にはこう記載されています。
Regular positive daily social interactions with humans are essential for both dogs and cats (with the exception of feral animals) . These interactions are crucial for stress reduction and are a powerful form of enrichment . Ideally, caregivers should be assigned to care for the same animals on a regular basis, so that the caregivers become aware of the behaviors of each individual animal and the animals become accustomed to the individual caregiver.
犬も猫も(ノイヌやノネコを除く)、人間との日常的な積極的な社会的交流が不可欠です。このような交流はストレス軽減に不可欠であり、強力なエンリッチメントの形態です。養育者が個々の動物の行動を認識し、動物が個々の養育者に慣れるように、同じ動物の世話を定期的に担当するのが理想的です。
その動物が慣れている同じ人が一貫して世話をすることが望ましいとされていますが、給餌や給水、清掃を行うだけでは不十分です。
Performance of daily husbandry is not a means to provide for the social needs of animals. Animals should receive some type of positive social interaction outside of the activities of feeding and cleaning on a daily basis (e.g., walking, playing, grooming, petting, etc.). This is especially important for animals housed long-term.
日々の飼養管理を行うことは、動物の社会的欲求を満たす手段にはなりません。動物は毎日の給餌や清掃以外に、何らかの積極的な社会的交流を行う必要があります(例:散歩、遊び、グルーミング、撫でるなど)。これは長期飼育の動物には特に重要です。
SAWA(2017)の「ベストプラクティス」※2によると、人間との交流は「1日1回、15分以上」必要です(彼らが人間を恐れないことが前提です)。
同種の動物との交流
一部の個体に対しては、人間だけではなく同種との交流もエンリッチメントとして有効です。「ガイドライン」にはこう記載されています。
For some animals, social needs may be partially fulfilled through interaction with members of the same species.
動物によっては、同種の動物との交流によって社会的欲求が部分的に満たされる場合もあります。
「ベストプラクティス」にはこういう記述があります。
Social interaction with conspecifics should be provided to those well-socialized individuals who enjoy the company of others.
同種との社会的交流は、他者との付き合いを楽しむことができる社会化された個体に提供されるべきです。
※1 ”Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters” ASV(2010)
※2 ”Animal Enrichment Best Practice” SAWA(2017)