エンリッチメントの方法③ 隔離中の動物との交流

アニマルシェルターが動物を受け入れたのちに、法的理由、または健康上の理由で一定期間隔離することは十分あり得ます。その間においても、エンリッチメントは必要です。

 

咬傷検疫中の対応

咬傷事故を起こし、狂犬病の検診のために隔離されている犬にもエンリッチメントは必要です。「ベストプラクティス」にはこう記載されています※1。

 

There can sometimes be legal requirements for quarantines, such as monitoring for signs of rabies during a bite quarantine. The legal requirements of the state must be followed, but social interaction during that time is crucial to that animal’s success if they are cleared.

咬傷検疫中の狂犬病の兆候の監視など、検疫には法的要件がある場合があります。州の法的要件に従う必要がありますが、その期間中の社会的交流は、動物が合格した場合、その動物の「成功」にとって非常に重要です。

 

(のらぬこ注)日本においても、人を咬んだ犬については2週間の狂犬病の検診が義務付けられている自治体が多いようです。しかし少なくとも日本においては狂犬病のリスクはほとんどないため、飼い犬の場合は引き続き飼養を続け、狂犬病予防員が検診のために出向くことが多いです。人を咬んだのちに抑留された犬や、抑留中に人を咬んだ犬については、検診期間中は譲渡や殺処分ができません。

 

The state department of health usually has jurisdiction around these quarantines and can be contacted to determine how you can legally maximize the amount of social interaction. Depending on the risk and prevalence of rabies in the state, foster can sometimes even be an option.

このような検疫については、通常、州の保健局が管轄しており、合法的に人との交流を最大化する方法を決定するために連絡を取ることができます。その州での狂犬病のリスクや流行状況によっては、foster(預かりボランティア)を利用することも可能です。

隔離期間中の動物

シェルターに収容され、健康観察中の動物とのふれあいについては、様子を見ながら個別の判断で実施することになります。「ガイドライン」にはこう記載されています※2。

 

For animals housed short-term and with unknown health backgrounds, social interaction must be balanced with infectious disease control. 

短期的に飼育され、健康上の背景が不明な動物の場合、社会的交流と感染症対策のバランスをとる必要があります。

 

When animals must remain confined for health or behavioral reasons, positive social interaction still should be provided without removing the animal from the enclosure.

健康上または行動上の理由で動物を閉じ込めておかなければならない場合は、動物を囲いから出さずに積極的な社会的交流を行う必要があります。

 

※1 ”Animal Enrichment Best Practice” SAWA(2017)

※2 ”Guidelines for Standards of Care in Animal Shelters” ASV(2010)