多頭飼育による3つの影響 ④周辺の生活環境の悪化

環境省の「ガイドライン」が「多頭飼育問題」としている状況のひとつが「周辺の生活環境の悪化」です。これには公衆衛生上の問題と生活安全上の問題が含まれます。

 

公衆衛生上の問題

悪臭や騒音、衛生動物の発生、感染症の蔓まん延等を伴う飼い主の生活状況及び動物の状態の悪化が、飼い主の住居の内部に留まらず、外部の周辺環境にまで影響が及ぶと、近隣住民の生活環境や健康状態を脅かす場合があります。(「ガイドライン」P6)

 

主な近隣住民に対する公衆衛生上の影響として、「空気の汚染」「騒音」「感染症」があげられます。

 

空気の汚染

多頭飼育の近隣住民への影響としてまず挙げられるのは「空気の汚染」です。HARC※によると、その主体はアンモニアなどの気体とバイオエアロゾル(Bioaerosol)です。それらは主に動物の排泄物が腐敗することにより発生します。汚染された空気は悪臭の原因になるばかりではなく、呼吸器に刺激を与え、疾病の原因になる可能性があります。

エアロゾルとは「気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と周囲の気体の混合体」(日本エアロゾル学会)です。

 

Bioaerosols include a wide variety of inflammatory and physiologically active components, including endotoxin, fungal cell wall fragments, and dust particles that can reach lower airways.

バイオエアロゾルには、エンドトキシン(内毒素)、真菌の細胞壁片、下気道に到達する塵埃など、様々な炎症性・生理活性成分が含まれています。

 

騒音

当然のことながら、多数の動物の鳴き声は騒音の原因になります。

 

感染症

バイオエアロゾルや衛生害虫等を通じて、人獣共通感染症が周辺住民に蔓延するおそれがあります。

 

生活安全上の問題

また、動物の逸走(逃げ出し)防止対策が十分でない場合は、逃げ出した動物の周辺家屋への侵入や、咬傷事故が発生するおそれもあります。(「ガイドライン」P6)

 

保健所が多頭飼育問題を探知するきっかけの多くが、周辺住民からの「多頭飼育の家から抜け出してきた猫が畑に糞をする」「庭で子猫を産んだ」といった苦情です。

 

その他の生活安全上の問題として、多頭飼育の家屋の劣化による倒壊や火災のリスクも無視できません。

 

※ https://vet.tufts.edu/hoarding/public-health/