「令和元年度社会福祉施策と連携した多頭飼育対策推進事業アンケート調査」への各自治体の回答からは、多頭飼育問題を抱える飼い主の姿がおぼろげながら見えてきます。「ガイドライン」では以下のようにまとめられています。
経済的困窮
アンケートにおいても、飼い主の経済的な困窮について、「あてはまる」及び「ややあてはまる」と回答があった事例が全体の53.5%と過半数を占め、生活が困窮している飼い主の割合は高いと言えます。また、生活保護を受給していた飼い主は全体の21.3%と事例全体の約2 割でした。(「ガイドライン」P11)
健康上の問題
飼い主には、健康上の問題や障害等の困難を抱える人も比較的多く存在しています。アンケートでは、「身体的な病気や、筋力・歩行の弱さがみられる」状況に「あてはまる」及び「ややあてはまる」飼い主の割合が、29.9%と全体の約3割を占めています。また、「十分な食事を取っていない様子がみられる、もしくはやせが目立つ」飼い主も18.7%と全体の2割近くを占め、「入退院を繰り返している」飼い主も8.6%と1割近くを占めています。実際に聴覚障害、認知症、知的障害、精神障害等の様々な障害や疾患を抱えている事例や、具体的な診断の有無は不明であっても健康上何らかの問題がみられる事例、十分な判断能力を有していないと思われる飼い主の事例も多数報告されています。こうした飼い主に対しては、必要な対処について検討し、適切な支援につなげることが重要です。(「ガイドライン」P11)
年齢や性別
アンケートによると、性別・年齢・居住環境等の傾向は、女性が約6割と男性より割合が高く、60 代以上の高齢世代が過半数を占める等の偏りはみられるものの、男性や若年層の飼い主もおり、様々な属性の人が多頭飼育問題を引き起こしていることが明らかになりました。(「ガイドライン」P11)
かつて多頭飼育問題を起こす飼い主のステレオタイプとして、猫好きの中高齢女性、いわゆる「猫おばさん」というのがありました。しかし現在では、年齢や性別による属性でくくることは困難といわれています。
居住環境
居住環境についても、戸建てか集合住宅か、持ち家か借家か、住宅の規模の大小、住宅密集地か否かを問わず、様々な環境下で多頭飼育問題は発生しています。(「ガイドライン」P11)
居住環境については、特に特徴はないようです。