発生構造―行われない繁殖制限

「ガイドライン」は、多頭飼育問題の発生構造として「動物数が飼い主の飼育管理能力を上回る」ことをあげ、その要因としてこの2つを示しています。

 

・適切な繁殖制限措置を施さずに飼育し続けること

・放し飼いや餌やり等により外部の個体の侵入を招くこと

 

特に避妊去勢手術の未実施は、動物の急速な個体数増加につながります。避妊去勢手術の徹底こそ、多頭飼育問題予防のための切り札であると私は考えています。「ガイドライン」においても、繁殖制限の重要性についてかなりの紙面を割いて解説されています。その要点についてまとめておきます。

 

避妊去勢手術が必須である理由

・犬、猫、うさぎ等の動物は高い繁殖能力を有しているため、複数の動物を飼育する場合には適切な繁殖制限措置が必須。

(のらぬこ注:このあたりについては、過去の記事を参照してください)

犬猫の避妊去勢手術の必要性(2021年1月3日)

「一度産ませてやりたい」の罠(2020年12月24日)

 

・雌雄分別飼育による繁殖制限措置は犬猫のようにケージ飼いを基本としない動物には非現実的。また避妊去勢手術を施していない動物を同一家屋内で雌雄分別飼育することは、発情期の動物に強いストレスをもたらす。

(のらぬこ注:このあたりについては、過去の記事を参照してください)

繁殖生理の違い(2020年12月23日)

「室内飼育だから避妊去勢手術は必要ない」という誤解(2021年7月7日)

 

・よって、うさぎやハムスターのようなケージ飼いの動物を除き、原則とし避妊去勢手術を行う必要がある。

 

・避妊去勢手術のメリットは、デメリットを上回る。

(のらぬこ注:避妊去勢手術のメリットとデメリットについては、本ブログの過去の記事で述べていますので繰り返しません。下記のリンクを参照してください)

避妊去勢手術に反対する飼い主(2020年12月22日)

ペットに関わるお金の話(2020年12月25日)

避妊去勢手術で太る?(2020年12月26日)

避妊去勢によるホルモンバランスの変化(2020年12月27日)

避妊手術後の尿失禁(2020年12月28日)

避妊去勢手術による運動障害(2020年12月29日)

避妊去勢手術による行動の変化(2020年12月30日)

避妊去勢手術の生殖器への影響(2020年12月31日)

避妊去勢手術のその他の影響(2021年1月2日)

「自然のままがいい」という勘違い(2021年7月5日)

犬猫の避妊去勢は「かわいそう」なのか(2021年7月6日)

子犬・子猫の避妊去勢手術(2021年7月8日)

手術費用の問題(2021年7月9日)

避妊去勢手術のリスク(2021年7月10日)

 

・個体数の少ない初期の段階で不妊去勢手術を行うことは、結果的に飼い主の経済的負担を減らすことになる。

 

※ 環境省「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」P16-21