多頭飼育問題への対応(概論)

環境省の「人、動物、地域に向き合う多頭飼育対策ガイドライン~社会福祉と動物愛護管理の多機関連携に向けて~」の第2章「多頭飼育問題への対応」には、多頭飼育問題に対応するための具体的方法について記述されています。長くなるので、最初に概略を見ていきます。

 

官民を超えた多様な主体・関係者による連携の重要性―連携なくして解決なし

・官民を超えた多機関連携が必要(特に日頃から動物愛護管理部局、社会福祉部局間で情報交換を行える体制の構築)。

<連携にかかる注意事項>

・関係主体が取組可能なことを持ち寄る

・対応主体の役割分担を早期に検討する

・飼い主の特質等によって主導権を持つ部局を決める

 

対応① 予防

飼い主を含め、すべての住民を対象に、動物の飼育に必要な知識、不適切な多頭飼育に係るリスクと防止策、多頭飼育問題に気づいた場合の連絡窓口等を効果的に普及啓発する。

 

対応② 発見

「多頭飼育問題に陥るリスクが高い段階」「多頭飼育問題の初期段階」「多頭飼育問題」について探知、発見し、「探知チェックシート」を用いて動物愛護管理部局及び社会福祉部局で情報共有し、対応の必要性について検討する。

 

対応③ 発見後対応

飼い主の努力・取組だけでは問題解決が困難で、地方自治体・関係機関等が解決に乗り出さなくてはならない段階。事案に則して「状況把握チェックシート」により関係主体を抽出し、3つの観点に対して連携して対応する。対応状況を「案件記録票」や「動物リスト」、「動物カルテ」に記録・整理するなど、飼い主との信頼関係を構築しつつ、解決に向けた取組を進める。

 

対応④ 再発防止

多頭飼育問題の解決後、再発しないようにするため、地域住民・地方自治体・関係機関等による見守り等、多層的なアフターフォローを行う。再発の兆しがあれば、早期発見、早期対応につなげる。

 

飼い主を支える組織や金銭面の支援

・社会福祉に係る支援機関等:認知症初期集中支援チーム、地域包括支援センター、生活困窮者自立相談支援機関等

・動物の飼育状況を改善する金銭的支援:不妊去勢手術や地方自治体の引取手数料に係る助成や減免(一部の地方自治体)や動物愛護ボランティアによるこれらの支援、支援のための基金創設やふるさと納税・クラウドファンディングの活用等

・生活環境の改善のための支援:ごみ屋敷条例やごみ撤去の支援金制度(一部の自治体)等

 

対策に当たっての留意事項

・個人情報保護の取扱い

・立入検査の体制

・「動物由来感染症」の予防

・飼い主とのコミュニケーション

・動物の引取り・譲渡に係る所有権放棄

・動物取扱業者(「ブリーダーホーダー」)への対応

 

以後、それぞれの項目について具体的に見ていきます。

 

※ 「ガイドライン」P3-4、52